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□にゃあ と鳴けば
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にゃあ と鳴けば





にゃあにゃあにゃあにゃあ。

猫の多い街、歌舞伎町。
今日もあちこちから猫の鳴き声が聞こえてくる。
そんな中、一際にゃあにゃあと煩い3匹の猫が……。

『今日も餌取れなかったじゃねぇか!あの時新八が店主にバレてなかったら…!』

『僕だけのせいじゃないでしょ!そもそも銀さんがお店から盗もうなんて言わなきゃ……』

『あーもう!うるっさいアル!私たち2日も餌食べてないネ!何でもいいからお腹いっぱい食べたいヨ!』

この3匹は猫事屋。
困った猫が居れば餌と引き換えに解決する……のだが、猫というものは群れないもの。3匹を頼る猫はなかなかいなかった。
おかげで餌を得る機会が減り、彼らは常に腹ぺこだ。

『しょうがねぇ……今日はこれで解散だ!』

『あ!銀ちゃんまたアイツのとこ行く気アルね!?私も連れていくヨロシ!』

『銀さんはいいですよね。餌くれる特定の人がいて』

『お前らも居るだろうが!ゴリラ女のとこ!ほら、行った行った!じゃ、またな!』

銀時は知らなかった。2匹が通うゴリラ女…お妙は黒コゲの餌しか出してくれないことを。
それを100%の好意と笑顔でやられるのだから、堪ったものではない。それでも、行くところはそこしかないのだ。

『『………はぁ』』

かわいそうな猫が2匹、今日も夕日に黄昏れていた。



―――――――………



にゃあー

「ん?……お前また来たのか」

にゃん

「はいはい、餌な」

にゃあぁんっ
『よっしゃぁぁぁ!さすがとーしろー!太っ腹!』

銀時がやって来たのは真選組。
その屯所の一番奥の部屋に彼は居る。彼の名は土方十四郎。

2人が初めて出会ったのは2年ほど前のこと。
屯所内で腹が空いて倒れていた銀時を助けたのが土方だったのだ。それ以来、銀時は土方目当てに屯所に通うようになった。餌のため………だけでなく、土方に会うために。
そう、銀時は人間である土方に一目惚れしてしまったのだ。
ずっと野良で優しくされたことのなかった銀時は、初めて優しく餌を与えてくれた土方に、種族を越えて淡い恋心を抱いたのだ。

「ほら、待たせて悪かったな」

にゃ!
はぐはぐはぐ……

「……ほんと、お前は旨そうに食うな」

『だって旨いし。いつもありがとな、とーしろー!』
にゃあぁんっ

「ははっ、口に付いてんぞ」

優しい手つきで口元を拭われる。恥ずかしい行為に土方を凝視していると、今度は頭を撫でられた。土方はいつも微笑みながら銀時を見る。それが嬉しいやら恥ずかしいやら。こんな時、どうしたらいいのかわからない。

「飯も食ったし、寝るか。お前、今日はどうすんだ?ん?」

銀時は土方の足に擦り寄って甘えた声を出し、今日もここで寝ることを伝える。

「……しょうがねぇな。ほら、おいで」

横になった土方の顔の脇に体を丸める。ここは銀時の特等席だ。

『……きれいな顔だな。眉間にシワ寄ってるけど』

少し立ち上がり、土方の眉間をペロペロと舐める。それがくすぐったかったのか、目をつむっていた土方が銀時をつまみ上げた。

「……なんだよ。もう寝るから構ってやれねぇぞ。抱いて寝てやるから、大人しくしてろ」

『ちょっ、とーしろー!?』

布団の中へと入れられ、軽く抱きしめられる。耳の後ろを撫でられると、あまりの気持ち良さに眠気が襲ってきた。

にゃあぁ……

「……かわいいよなぁ、お前」

ごろごろ……にゃぅ

「…おやすみ」

『……おやすみ、とーしろー』



言葉なんて通じなくても、感じ取ることはできる。
土方は少なくとも銀時を邪魔とは思っていないし、可愛がってくれる。
銀時にはそれだけで十分なのだ。


今日も銀時はだいすきな土方の腕の中で、温かい体温を感じながらゆっくりと眠りについた。




end.

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