event
□“あいされる”ということ
1ページ/2ページ
“あいされる”ということ
パンッ パンッパンッ!
「「「誕生日おめでとう!!!!」」」
軽快な破裂音と共に、嬉しい言葉が掛けられる。
家に帰っていないはずの新八と、時間に関係なく用があったら呼び付けるはずのお妙。ぐっすり夢の中のはずの神楽に、それに寄り添って寝ているはずの定春。そして下の店で営業しているはずのお登勢、キャサリン、たま。
メンバー勢揃いで俺を祝ってくれたのはわかった。
――だけどよ。
「……今何時だと思ってんだコラァァァァァァァァ!!」
ただ今午前0時を回ったところ。誕生日すぐに祝ってくれたのは素直に嬉しい。そりゃあな?銀さんも人間だから、大事な奴らにこんなことされたら喜ぶよ。けど、けどな?寝てる奴をクラッカーで起こしてまでしなくていいんじゃねぇかな!!
「すみません銀さん。さすがにクラッカーはやめようって言ったんですけど…」
「何ヨ。せっかくお祝いしてあげたのに。感謝の言葉が聞こえないアル」
「痛い痛い痛い!!神楽ちゃん痛い!ちょー嬉しいから足の甲抓らないで!」
「私だってわざわざ仕事を休んだんですよ?本当なら今頃ストーカーにドンペリを貢がせていられたのに」
「頼むからお前もその薙刀しまってェェェェェ!!」
怖い二人に脅されながらも、なんだか空気は和やかで。襖の先に見える居間にはケーキや豪勢な料理やダークマダーが並んでいた。
俺は新八が用意してくれた胃薬をすぐに飲んだ。
「ケーキは餓鬼共が作ったんだよ。……愛されてるじゃないか」
「ババァ……」
「オ登勢サンニタダデ料理作ラセルナンテ何様ナンダヨ!」
「てめぇその耳取って団地妻にすんぞ!てか何しに来た!」
『銀時さま、お誕生日おめでとうございます。これプレゼントの油です。』
「…お、おぉ、悪ぃな。料理するときにでも使うわ」
祝われてんだか、けなされてんだか、それでもこうやって集まってくれたのが嬉しくて、ガラにもなく泣きそうになる。
「銀ちゃん!早くケーキ食べるネ!全部食べなきゃダメアル!」
「僕ケーキ作りなんて初めてで戸惑いましたけど、なかなか上手にできたんですよ」
「……ん、ありがとな」
砂糖が残ってジャリジャリいう生クリームのケーキも、酒の肴みたいな料理も、みんなうまかった。(さすがにダークマダーは腹痛くなったけど)
お腹も満腹でその後はみんなで雑魚寝。両脇にいる新八と神楽を見ると、本当に幸せだなぁ、なんてガラにもなく思ったりして。
幸せを噛み締めながら眠りについた―――――