企画作品の部屋
□姫栗カレンダー企画投稿作品集
2ページ/10ページ
5月7日・粉の日
(あれ、礼拝後の振る舞い用に菓子を作ろうと、とっておいた小麦粉がない)
困って眉を下げた瞬間、後ろから途方に暮れた声。
「クリフト〜、どうしよう」
「わ……」
顔じゅうどこもかしこも粉だらけ、スノーマンより真っ白になった彼女が神官服の裾を掴む。
「ど、どうしたんですか、一体!?」
「お化粧しようと思ったの。おしろいってこれのことでしょ」
はちみつ色の瞳が、べそをかきそうにとろとろ潤んだ。
「マーニャが、女の子は好きな人のためにきれいにすることも大事だっていうから。
でもわたし、きれいになんて出来ないよ。これじゃクリフトに、嫌われちゃうよ」
「……確かに、きれいにはなっていないかもしれませんが」
両の指で、愛らしい頬の上に舞った粉をていねいに拭ってやりながら、
今日の振る舞いは飴菓子に変えようと決めて、彼は楽しげにほほえんだ。
「とても、おいしそうですよ。このまま砂糖をまぶして、食べてしまおうかな?」
これは粉の日、と聞いた途端、なぜか顔じゅう粉まみれの(笑)姫様が思い浮かび、書いたものです☆
姫様ってはちみつ色、クリフトにとってはまるでお菓子のように甘くてならない存在でしょう(*^_^*)
どうぞ美味しく食べちゃって下さいっ♪