企画作品の部屋

□2010年ホワイトデー企画・クリフトからの告白
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version しを様(ALTERNATIVE)



「あぁ…姫様。
申し訳ありません、夜分お呼び立ていたしまして。
寒くはありませんか?
私のローブでよかったら、どうぞ羽織っていてください」


…………。


「私は大丈夫です。
それより、大切な姫様がお風邪を召してはいけませんから。
それでですね、あの、用というのはその………
先月の、聖ヴァレンティヌスの祝祭でいただいたケーキ。
改めてご馳走様でした」


…………!?


「ええ、とっても美味しかったですよ。
 
いえいえお世辞などではなくて。
……一生懸命練習なさってくださったんでしょう?
本当に腕を上げられましたね。とても、嬉しかったです。

それでですね。

えーっと……今日はそのお返しを、と思いまして……」
 

…………。 


「お気に召していただけるかどうかわからないのですが…。
よかったらコレ、受け取っていただけませんか?」


…………!!


「あぁよかった!喜んでいただけてなによりです。
……実は自信がなかったんです。
ダメですね、姫様に贈る物となると途端に決められなくなってしまって。

私らしくない、ですか?
 
……私はいつでも迷いっぱなしですよ、貴女の事に関しては」


…………。


「ねぇ姫様、ご存知ですか?
昔から、アクセサリーには宝石の並びやシンボルに
想いを託す装飾方法があるんです。

 例えば。
 

ダイアモンド(Diamond)
 
エメラルド(Emerald)
 
アメジスト(Ametyst)
 
ルビー(Ruby)
 
エメラルド(Emerald)
 
サファイア(Sapphire)
 
トパーズ(Topaz)


この順番で宝石(いし)を並べる事によって、
その頭文字を繋げて『DEAREST』…最愛の人、という意味を込めるんです。
それから『勿忘草』には『私を忘れないで』『真実の愛』という意味が。
 
そしてリボンで束ねた花束は、最大級の愛情を表現しているんですよ」


…………! !? 


「ええ、そうです。貴女に贈ったそのブローチ。
 
物に想いを託すなんて女々しいとお思いでしょうが、
……これが、私の精一杯の気持ちです。

姫様。
初めてお逢いしたあの時から………


ずっと、貴女をお慕いしておりました」


…………。


「貴女がいつか他の誰かを愛しても、私を見てはくださらなくても。
貴女の記憶の中にほんの少しでも私の存在が残るなら
それが私には何よりの幸せなんですよ。

お気に召さなかったら、捨ててください。

それでは私は、これで。
足を運んでいただいてありがとうございました…姫様。
おやすみなさいま……っと、っとっと!!姫様いきなり引っ張らないで…!?」


…………!!!!!


「えっ……姫様も、私と同じ……?
ほ、本当ですか!?戯れならおやめに…って、違う?本気!?
本当に、本当に姫様も私を想ってくださっていたのですか!!??
 
あ、いえ、すみません!違うんです、嬉しくないとかではなくて!
あの、まさかこの想いが届くなんて思っていなかったから…
 
そ、そんな…あの、私、今すごく幸せです……!!!」
  

…………。


「あぁでも今は…申し訳ございません。
いえ今だからこそ、貴女にこれ以上触れるのはやめておきましょう。
 
そんな顔をなさらないでください。
 
やっぱり魅力がないなんて仰らないで。
違います、逆なんです。魅力的だから、私は貴女に触れられない。

え、何故って?………それは……その…お笑いにならないでくださいね?



これ以上貴女に触れたら、これ以上貴女に見つめられたら。


 
きっと私は私でいられなくなります。
……愛しい貴女を欲情のままに壊してしまうかもしれないから。
 
だから、どうか今宵はこのまま……!姫様!?」


…………。


「…いいのですか?
本当に……『貴方の好きに』なんて仰って…後悔なさいませんか?


………夢みたいです。ずっと、ずっとこうしたかった。
ずっとこの腕で貴女を抱きしめたかった。
愛する貴女と身も心も一つになれたらと…ずっと願っていました。
姫様……この命が果てるまで、どうか貴女のお傍に。



『愛しています………アリーナ』」





Fin.
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