戴き物のSS

□冷たい手
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旅に出た時はクリフトの完全な片想いだった

しかし、エンドールの武術大会でアリーナが優勝した後サントハイムの城のものが消えた時アリーナは計り知れないショックを受けた

不安定になるアリーナを慰めようとクリフトは懸命に励まし側にいた

クリフト自身もショックは受けたがアリーナを立ち直らせることが優先だった

しかしクリフトがミントスで倒れた時にアリーナは気づいた

いつのまにかクリフトが一人の男性として大切になっていることに

結果的に勇者たちによりクリフトは回復しアリーナたちが仲間に加わる

その夜アリーナがクリフトの様子を見に行くとクリフトは眠っていた

ただでさえ細い身体が痩せており、悲しくなった

心配になり脈をとるとちゃんとあったが、手が冷たかった

今にクリフトが手だけでなく全身が冷たくなりそうで不安になった

「クリフト…」

クリフトの手を握ったままアリーナは静かに泣いた

「姫様…?」

クリフトは目を覚ました

「どうされましたか…?」

「サントハイムのみんなやお父さまだけじゃなくクリフトまでわたしの前から消えてしまいそうで…」

「ご心配ばかりかけて申し訳ありません…まだ少しふらつきますが…大丈夫ですから…さ…お部屋にお戻りください」

「どうして?わたし今夜はここにいる!!心配だから…」

「ご心配は有りがたいですが…」

立場上アリーナを帰すしかないクリフト…

「いや…なら…せめて…クリフトはいなくならないって証拠見せて…」

目をはらしながらアリーナが呟く

証拠…といっても…
クリフトは悩んだ…
悩んだ結果ずっと愛用しているロザリオを渡した…しかし…アリーナは納得しない…

するとアリーナはクリフトに抱きついた…

「姫様…?」

想い人に抱きつかれて嬉しいが戸惑いを隠せないクリフト…

「いや…わたしに…クリフトを刻み付けて…」

え…これは…もしかして…しかしアリーナはそういったことは疎いはず…ブライがアリーナの耳にそういった情報についてはことごとくシャットアウトしていたはず…

「…わたしだって…流石に知ってるわよ…」

とはいえ怖いのだろう…アリーナが震えている
クリフトはしばし目を閉じて…

「姫様…私は戒律でそういったことは禁止されております…それに…大事な仲間であり主であるあなたにそのような恐れ多いことは出来かねます…」

クリフトは言葉を選んでアリーナに諦めるよう諭した
しかしアリーナは引き下がらない…

「クリフトはわたしが嫌いなの…?」

「それはありません」

「嫌いじゃないけどそういう対象じゃないの?」

食い下がるアリーナ…
クリフトは観念したように抱き締め返す…

「…ずっと…そういう対象でした…ですが…今日は…あきらめてください…」

「どうして?」

「…お恥ずかしい話体力が回復していないので…」

したことはないが体力はいるものだとはわかる…今晩無理矢理させてまた倒れたら大変だ…

「わかった…」

アリーナが納得した…クリフトにしたらアリーナが冷静になる時間稼ぎをしたかった

「さあ…今夜はもうお帰りください…」

「わかった…じゃあ…お休み…」

そういってアリーナは自分の唇をクリフトのそれに押し当てた…

柔らかい感触…やがてどちらからともなく口を開いて舌を絡めていた…

互いに貪るように
想いをぶつけ合うように…

そして…二人は…クリフトの体力の回復を待たずに結ばれた
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