10年ぶりに逢った君

□廻り巡って
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こい【恋】
相手を自分のものにしたいと思う愛情をいだくこと。


パン、と音をたて辞書は閉じられた


相手を自分のものにしたい…?
骸を?
僕のものに、?

…よくわからないな。


あっさりと恋というものについて書かれていた一文を何回も読み返したがよくわからない


他にも、相手に触れたいと思うなどという情報もあった



「……はぁ…」



恋なんてしたことがなかった
してみたいとも思わなかった
ただの鬱陶しい感情
そうとしか思っていなかったため正直雲雀は戸惑っていた


…でも、はっきり骸が好きだとわかったわけじゃない
そうだ、勘違いかもしれないじゃないか


ふぅ、と一息吐くと授業中のため静まり返っている廊下を歩き始めた



「委員長」

「…なに」



振り向くとやっと見つけたというような顔をした風紀委員がいた



「今日の昼までの書類がまだ出ていないようなのですが…」

「……ワオ、忘れてた」



今からやるよ
と一言残し応接室へ向かった

あの委員長が仕事を忘れるなんて…
そんな風紀委員の驚きに気付きはしなかった



「(骸のことばかり考えてる気がする…)」



仕事をしていても集中できない


ちゃんと授業受けてるかな
クラスでも人気あるんだろうな…



「…っ!!」



いけない。集中、集中
昼までには終わらせないといけないんだから


頭をブンブンと振りなるべく骸のことを考えないように、書類に集中した









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