・べるぜ×銀魂
・銀時転生
・銀時視点



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護るもの全てが平和であれと願う


学校を早退し、不良たちに絡まれることなく無事に目的地に着く。もちろん辰巳が向かうところは把握済みだったから、見つけるのは簡単だった。


『いたいた、辰、み…』


声を掛けようとしたが、よくよく見ると、沢山の不良の亡骸(気絶してるだけ)の中にうずくまるようにして座っている弟に気付けば、俺は急いで鞄を放り投げて走り寄った。


『怪我でもしたのか!?』
「ぁ、虎白…」
「だ!」
『その様子じゃ、大丈夫そう……ぇ、だ?』


子供の声が聞こえて、辰巳の胸元を覗き込むようにすれば緑色の髪色をした真っ裸の子供がいた。


「だーぶー!」


いやナイ。ナイな、これはナイ


「だぷん!」


…………いやいやいやいやいや、ナイって!うちの辰巳に限ってナイから。うん大丈夫、これはナイ


「虎白?」
「だ?」


ナイナイナイナイナイナイナイって!いくら目元とか仮にも双子の俺よか似ているのだとしても、これはナイって!!!だって辰巳だもん!女の子より喧嘩とコロッケが好きなやつだよ?そりゃ顔は整ってるよ!それに意外と優しいから女子なんかはコロッと辰巳を好きになるかもしれないけどさぁ!


『そんなふしだらな弟にした覚えはない!』
「散々百面相して、開口一番それかよ」


混乱から繰り出した拳を受け止めてから、辰巳は赤ん坊がここにいるまでの経緯を話してくれた。


「むかしむかし、あるところに、それはそれはハンサムでかっこよくて、モテモテで皆に尊敬され『それ長くなりそうだから古市に回せ』」
「だ!」
『…とりあえず、詳しいこと含めて古市の家で話し合うか』
「だな。おばちゃんがケーキ買ってんのさっき見たし」
『マヂでか!』



赤ん坊は辰巳の学ランを借りて着せてから、俺は赤ん坊の頭を軽く撫でた。前世で赤ん坊を拾った時を思い出したのは、辰巳には内緒だ。まぁ、その時は俺そっくりで面倒な事件になったのは変わりねぇけど。


『…今回も面倒なことになるんだろうな…』


呟いた言葉は赤ん坊だけにしか届かず、何か言ったか、と振り返った辰巳に放り投げた鞄の中のパンを渡してから肩をたたいた。


面倒ごとには生憎と慣れてんだ。







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「今日からこの子共々お世話になります。ヒルデガルダと申します。ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします」


あれから色々なこと(古市宅半壊、鉄塔雷撃破など)があり、赤ん坊は信じられないことに魔界の王の子供と言うことがわかった。そして、その侍女であるヒルダという爆乳ゴスロリ美女が我が家に住まうことになった。



が、



『おい、その言い方は納得いかねぇ』
「何か問題でも?」
「『大アリだ!』」


どこから仕入れてきたか分からないが、もれなく誤解しか招かないヒルダの挨拶のせいで、辰巳はマカオ出身のヒルダとの間に子供を授かり、その挨拶に来たことになってしまった。



『…美人で爆乳なのは羨ましいし、ベルも可愛らしいのは認めよう。しかし、お兄ちゃんの許可なく辰巳の嫁の座はやらん!』
「虎白、アンタ辰巳のことになると馬鹿丸出しよね」
『俺の夢はなぁ、結婚式のときに辰巳の嫁さんに″うちの弟を…辰巳を幸せにしてやってくれ…泣かせたら許さねーぞ!″って言うことだったんだよ!』
「いや、それ辰巳が言われる方!」
「じゃあ、お父さんは虎白の結婚式で言おうかな」
『俺、結婚できっか知らねーぞ?』
「「「(無自覚かよ!)」」」



まぁ、とりあえず緩い親なので、ヒルダとベル坊のことは簡単に誤魔化すことが出来た(それによって弟は妻子持ちになったが)。

しかし、ベル坊が魔王の子。しかも、人間界を滅ぼそうするために凶悪(そうなのは顔だけ)な辰巳を親にし、育てさせる、なんて…


『ほら、やっぱり面倒ごとだ』
「ん?何か言ったか」
『いや…何も』





続く






第二話



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