りくえすと

□君在りき
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『死ね』
『鬼!』
『あんたがいなかったらッ!!』
『生まれなきゃ良かったのに!!』


目を覚ました瞬間に聞こえてきた罵声に、土方は思わず耳を塞ぎそうになった。


『……にん、げ…ん…キ、ライ…』



そして、次いで聞こえたか弱い声は、目の前にいる小さな銀色の子供から発せられ、思わず視界が滲んだ。


「ここは…俺たちに出会う前の銀時の過去、か」
「桂ッ…それに高杉もッ…」


自分だけしかいないと思っていた土方だが、振り替えれば新八と神楽、近藤、沖田に桂と高杉、坂本がいた。


「…まぁ、コイツらを捕まえるのは現実に帰ってからでさァ」
「俺たちが過去に来た原因は掴めてねぇが、天人絡みってとこか」
「嗚呼、それに今はあの子供を助けなくてはッ…桂の言葉を信じるならば、あれは銀時で間違いないのだろう」



近藤が大人たちを引き止めようと手を伸ばせば、その手はするり、と擦り抜けた。


「!!」
「過去は過去。変えることは無理というわけじゃな」


そう言った坂本と同じように視線を子供へと向ければ、神楽と新八が意味がないと判っていても大人たちから小さな銀色を守ろうと立ちふさがっていた。


「酷いアル!!銀ちゃんは優しいのにッ、判らないアルカ!?」
「そうですよ!!銀さんはッ…鬼じゃない!!」


『……』


額から血を流しながらも銀時は泣きもせず、無感情のまま大人たちを見つめてから、ふらふらと山に入っていった。


「山に…入った…?」
「誰も止めんのか!?」


銀時に付いて歩いていけば、そこは屍の転がる戦場だった。間違っても子供が進んで行くような場所ではない。


『…め、し……』


「なッ、屍の持っていた握りを…」
「…そうしないと生きていけない、から…?」
「銀ちゃん…」


乾いてきた血を拭いながら、屍の上に座り握り飯を食べる銀時に皆が目を逸らさなかった。


そうして苦しんできたからこそ、あの銀色は誰よりも強く優しいのだ、と感じたから…。




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