カプリシオとカントリー
□序章
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誰一人信じていないことに気付いた愛子は慌てた。
どうすれば信じてもらえるだろうか。
「ほ、本当です!!友達と話してたら、いきなり携帯のストラップが壊れて妖精が出てきて…なんか好きな武器使えるようにしてくれて、気付いたら此処にいてっ…あ、ほらコレ!!」
ブレザーのポケットに入っていた携帯を取りだし、見せつけた。確かにストラップが壊れて紐しか付いていない。
「銀さん、コレもしかして…」
「……本当なんだな?」
「本当です」
少しもぶれない、真剣な瞳。
その瞳に銀時はふっと小さく笑った。多分、この少女は嘘をついていない、なぜかそれだけを確信した。
新八も神楽もそうなのだろう、さっきまでの疑わしげな表情が一切見られない。
「…わかった、信じる」
「え…本当、ですか?」
「ああ。そんな真剣な目ぇしてんだ、信じるしかねーだろ」
銀時のその言葉に新八と神楽は笑顔でコクコクと頷いた。
目を輝かせて神楽が身をのりだす。
「住むところはあるアルか?」
「あ、ううん、ない」
「銀ちゃん!!」
「………仕方ねえ。あんた、此処に住むか?仕事手伝ってもらうことになっけど」
愛子は一瞬耳を疑った。
断るはずがない。
「い、いいんですか!?迷惑かけますよ?」
「大丈夫だよ!…むしろこっちが迷惑かけるだろうし」
嬉しすぎて言葉にならない叫びをあげる愛子に少し引きながら銀時は一応自己紹介をした。
「…俺の名前は坂田銀時。この店のオーナーだ。ま、銀さんとでも呼んでくれ、敬語使わなくていいぜ。あ。新八は敬語な」
「なんでですか!!別にいいですけど……あ、僕は志村新八。よろしくね」
「私は神楽アル!!よろしくなハスキーボイス」
「……まあいいや。私は無月愛子。これからよろしくお願いします!!」
こうして愛子は万事屋で暮らすことになったのだった。
「愛子ちゃん、可愛い顔してるのに意外とハスキーなんだな」
「…ダメですか?」
「いや別に。……むしろそのギャップがいい」
「??」