カプリシオとカントリー
□序章
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*愛子*
落ちてる。
ただただ下に猛スピードで落ちていることしかわからない。
「ゥォォォォオオオオオ―――!!!!」
愛子は本当に女の子か疑わしい雄叫びをあげて何処かの屋根に突っ込んだ。
ドゴッ
モフッ
「わぅんっ」
なんとか意識を保てた。けどなんか犬の鳴き声が聞こえた気がする。下がもふもふしてるし。
まさか―――
「定春っっ!!?」
バッと顔を上げて下を見た、はずだが―――
バクッ
いきなり視界が暗くなった。というかなんか生温い。
「定春ぅー散歩の時間……………………それ、誰アルか」
「どうしたの神楽ちゃ……………………ちょっ、定春!?その人もしかして依頼者とかじゃないの!?」
いつも通り部屋に入った二人は目の前の出来事に衝撃を受けた。まあ、飼い犬が見知らない人の頭を咬んでいたのだから当たり前だが。
眼鏡の少年が犬……定春の口を掴んで無理矢理開けさせようとすると、定春はしぶしぶ愛子の頭を解放した。
いきなり解放された愛子は目を疑った。
神楽と定春と眼鏡がいる―――!!!
「ちょ、今僕のこと眼鏡って言った?眼鏡って言ったよね?」
「眼鏡だから当然ヨ。なんで私たちの名前知ってるアルか?」
「その前になんで私の心の声が聞こえたんですか」
「口に出してたネ」
「あ、なるほど」
三人と一匹の間に沈黙がおちた。