カプリシオとカントリー
□序章
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ゴホン、と一つ咳払いをして。
豹の女性が優雅に微笑み、着ぐるみの首もとに手を突っ込んでステッキを取り出した。
《詳しく説明するのは面倒じゃからの。手っ取り早く話を進めさせてもらう》
うさぎの少女も首もとからステッキを取り出し、可愛く微笑む。
《貴女たちには今から銀魂とかいうアニメの世界に行ってもらうのー。私たち、今妖精王からお叱りを受けてて誰かの願いを叶えなければいけないなのー。で、丁度貴女たちを見つけたのー》
《拒否はさせんからの。取り敢えず向こうに行っても困らんように強くしてやろう》
早口に説明をし、勝手にステッキをかざしてくる小人もとい妖精。愛子たちが口を挟むタイミングがない。
《そうだ、お主らは武器を持ちたいか?何がいいんじゃ》
「……え、なら俺は刀と銃が欲しいな。あーでも大鎌とかもカッコいいしなぁ…棍とかも中々」
「こんな所で厨二病発揮しないでよ水由樹ちゃん。あ、私はかめはめ波を出したいです」
「いや、愛子のが厨二だろ!」
《…取り敢えず何がいいか早く言って欲しいのー》
二人がパッと妖精の顔を見ると、面倒くさいなコイツら、という顔をしていた。何て失礼なんだろうか。
「んじゃ、俺は刀と銃。そんで弾切れしない感じで、あと」
《了解じゃ。そっちの娘は何がいい》
「私も刀がいいな。あと鎖鎌」
《意外と野蛮な武器選んでるのー》
「絶対る〇剣の鎌〇を意識してるだろ」
「……ばれた?」
《よし、ではその武器を使えるようにしてやる。じゃあの》
《ばいばいなのー》
素っ気なく別れを言う妖精たちのステッキからいきなり光が溢れ出した。
絶対あれだ。
二人の会話がいちいち面倒臭いからさっさと移動させようとしてる。
「え、ちょっと待て向こうで俺たちどうすれば」
「私たち何処に落ちるんですか!?」
二人の叫びも虚しく銀魂の世界へととばされたのだった。