□狐は最強
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俺、真白狂也《ましろきょうや》は死んだ。死因は車にひかれた。

目が覚めたら世界は真っ白だっだ。たしかに俺は死んだ。
『此処は何処だ……?』
俺は茫然としながら、その場で立ち止り呟いた。
まずは落ち着こう…深呼吸をしようとするが…………息の仕方がわからない。




体が体じゃない感じだ…中身がすべてなくなった感じ。









たしか死んだら、お花畑や三途の川とかじゃなっかたか?




つーかおばーちゃんいないのか??死んだら会えると思ったのに…





どのくらい時間が経ったのだろうか。全く時間が経っていないようにも、かなり時間が経ったようにも思える。








肉体がないからか?まあ、こんな空間の中にいればそんなことも些細なことだ。








ふと後ろを見ると黒い穴が空いていた。人が入れるぐらいの…




周りが白だから余計に黒く感じる。深い深い闇にも見える。








もしかして死者の入り口……とか?






たが俺の直感が違うと告げている。








その存在感はどこまでも静かで周りの空間の中にある一部分に見える。






だがなぜだろう。その吸い込まれるような闇はむしろこの空間を支配してる………………この空間の心臓部と言ったほうがしっくり来てしまう……………。





そんな気がした…






しかも、黒い穴がだんだん大きくなっている。………というより、多分俺が引っ張られている気がする…いやそうだ。


距離感なんて死んだ俺には分からないがな。




でも不思議と恐怖は全くといっていいほどなかった。
飲み込まれるならそれも一興…。














そしてとうとう視界全てが闇で覆い尽くされた。




こんな深い闇色があるなんてな………







そんなどこか他人ごとのような感想を抱いていると、







俺の“存在”が闇に浸食されだした。






いや、闇が流れこんで来たと言ったほうがいいかもしれない。









意識が飛ぶ直前、ああ、このまま宇宙のチリとかになるのか〜………





と思いながら闇の流れに身を任せて意識を手放した。
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