story1
□血濡れの白い薔薇
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赤い薔薇。以前はユナイテッドサンクチュアリに咲き誇っていた美しい花だ。
だがサクヤとウィザードが生まれるずっと前の戦争で燃え尽きてしまい、現在この世界には赤い薔薇以外の薔薇しかないのだ
もちろんウィザードが言った通り、サクヤはそれを知っている
「どうしてそんな事言ったのですか?」
めーぷるは首を傾げた
サクヤは花瓶にいけられているアザレアを見つめて呟いた
「…嫌われたかったの」
「…え?」
「彼は私の我が儘を何でも聞いてくれるの。あんなに意地悪してるのに、彼笑うの。私が笑ってくれるならそれでいい、って」
「…だから絶対に成せない命令を下したのですか?」
サクヤは無言のまま。が、それが肯定を表しているのはめーぷるにもわかった
「ウィザード様はサクヤ様が大好きなのですね」
「…私も」
「…?」
「…あの人、いつまで外にいる気なのかしら」
ウィザードが探して来ると言ったあの日からもう一週間も帰ってこない。おそらく必死に赤い薔薇を探してるのだろう
「………馬鹿、早く帰ってきてよ。寂しいじゃない」