夢.
□拍手1
1ページ/1ページ
「コラ。そんなにぐうたらしてると太るよ?」
「な!?ひどーい。カカシさいてー。」
「はいはい。」
くそう。
全然こたえてないな。
私は寝転がって雑誌を読んでいた。
カカシの言葉にしぶしぶ起き上がり、雑誌を閉じる。
「じゃあ、どっか行こうよー。」
「オレ疲れてんの。友達と行ってきたら?」
このやろう。
カカシと行くことに意義があるのに。
「どっか行こうよ〜。」
負け時ともう一度お願いしてみる。
必殺!!上目遣い!
「ね?」
「ヤダ。」
即答!
全然効いてないし!
「っち。」
「え、今の舌打ち?オレの空耳?」
「さぁね。」
ふん、と鼻をならし私は立ち上がる。
「じゃー出かけてくるから。」
「ん。行ってらっしゃい。」
「…カカシなんてハゲてしまえ。」
ボソリと呟いた。
後ろで目を丸くしているカカシが想像出来たが、あえて無視する。
「オレはハゲてないよー。」
うるせー。もう知るか。
**********************
とりあえず、家を出てきたものの。
あいにく今日は平日。
みんなは仕事。
私は一人。
ちーん。
「はぁ。何しよう。」
とぼとぼ歩いていると小川が目の前に見えてきた。
周りには咲きかけの桜。
「花見でもするかな。」
そう思い、近くにあった店でカップの日本酒を買ってきた。
とりあえず、桜に乾杯!
桜の木に酒を掲げて一口。
「くぅー。うまい!」
爽やかな風に吹かれながらの花見。
まぁまだあんまり咲いていないけど。
カカシと見たかったなぁ…
はー、とため息をつく。
そのとき不意に肩を叩かれた。
ぷに。
「げ。」
しまった。
古典的なやつに引っかかった。
私の頬に指が刺さっている。
「なーに一人で花見してんのよ。」
「うるさい。カカシこそ何でここにいんのよ。」
「んー?お前の心の声が聞こえたからさ。」
「っぶ、ばかじゃないの?頭大丈夫?」
「お前ね、まぁ散歩だよ散歩。」
「散歩、ねぇ。」
うそだ。絶対。
だってカカシの手には私の上着があるんだもん。
「ん。」
「…ありがとう。」
素直にそれを受け取り羽織る。
「桜、満開になったらまた来ようか。」
「ホントに?」
「ホント。」
「じゃあ、楽しみにしといてあげる!」
「あげるって何でお前が上から目線なのよ。」
「いーの。気にしない、気にしない。」
次ここに来るときはきっと満開であろう桜を
二人で眺める。
「へっくしょい!」
「あー、風邪ひいたんじゃない?一人で花見なんてするから。」
「うるしゃい。っくしゅん!」
「仕方ないから看病してあげるよ。」
私を抱き上げて立ち上がるカカシ。
「え。ちょ、ちょっと!」
抗議する声も空しくカカシはその場で瞬身の術を使った。
「私の酒ーーーー!」
飲みかけの酒が寂しくその場に残された。
おわり