夢.
□体温
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「ただいま〜。」
誰もいないこの部屋に寂しく響く。
時刻は夕方。
夕日が窓に差し込んでいた。
私はカーテンを閉めて明かりをつけようと、持っていた荷物を床に置いた。
「おかえり。」
「っうわ!」
いつの間にか背後に無表情のカカシ立っていた。
ポケットに両手を入れて背を壁に預け、俯いていた。
「びっくりしたし。・・・なに、どーしたの。」
カカシがいつの間にか家にいることは
私にとって当たり前なので
とりあえず声をかけてみる。
なんとなくだけれど
元気がない気がするから。
「・・・ん、ちょっとね。」
壁から背を離し、私の方に近づいてくる。
あっという間にその距離はなくなって。
カカシの大きな腕が私を包み込んでいた。
長い静寂。
私はカカシの背中に腕を回し、目を閉じる。
かすかだけれど、血の匂いがした。
「おかえり。」
無事に帰ってきてくれた
今は、それだけでいい
だって私たちがいる世界は
戦場なのだから
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