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□伝説のオカン(南)
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オカンが新しくできた美容院に行ってきたらしい。家に帰ってくるなり喧しい声で自慢してきた。うっとうしい。

「カットしてくれた男の子めっちゃイケメンでな、なんて言うん?セクシードーンみたいな。烈?聞いとるー?」

セクシードーンちゃうしドーンってなんやねん。

「お若いですねとか言われてなー、オカンもまだまだイケるやろ。滝川クリステルに見えてこん?あんたもその変な髪型変えたらどうなん?」

小遣いもくれんくせに大きなお世話やっちゅーねん。アホなことほざいとるオカンに俺は空返事をして2階の自分の部屋に篭った。とりあえず全国のクリステルファンに謝れ。



「みなみー聞いてやー」
翌朝、岸本が暑苦しい顔をニヤニヤさせながら話しかけてきた。
「なんや朝から」

「うちのお隣りさん美容院で働いとるサレオツ兄ちゃんなんやけどな」

「サレオツて」

「タケルさんが…あ、タケルさんて家の隣のサレオツ兄ちゃんな。タケルさんとこの美容院に来たオバハンに『どないしますかー』言ったらそのオバハン『クリステルみたいにして』って言ったんやって。その店でそのオバハン伝説らしいで!…南?みなみー聞いとるかー?」

「…なあ、その兄ちゃんジュノンボーイみたいな顔してたりするか?」

「おー!イケメンよイケメン!まあ俺には敵わんけどな!」

しにたい。

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