BOOK

□雪村千鶴の憂鬱
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「おい」
「はっはいぃ゙!?!?!?」

意識を集中させていたせいで風間先輩の声に驚いてしまった。

「そんなに見つめられたら穴が開く」

「っ!?!?」
なっ、ななななな……そ、そんなに見つめてたのだろうか… は、恥ずかしい…っ な なにか変な勘違いされてないよね!?ただわたしは風間先輩の顔が綺麗だなって…見てて… て、わたしっ何言ってるんだ〜… などと頭の中で葛藤しながら先輩の様子をチラチラ伺う。

「……。」

「……おまえ…、わざとか?」

何がですか? と千鶴が答えようとするまえに風間の手が千鶴の頬に添えられた。

「…っ」

いきなりの出来事に千鶴の身体が硬直する。

「せ…んぱ…」
「しゃべるな」

ただ一言命令すると風間は手慣れた動きで、自分の唇を千鶴の唇に近付ける。

「………っ」

だが唇同士が重なるまえに静止し、風間が千鶴との距離を取った。

「…トイレに行ってくる」

ただ一言そう告げると風間は立ち上がり部屋から出ようと歩き出した。
「あ…せんぱ…」

バフッ

千鶴は無意識のうちに風間の服の裾を持って風間を呼び戻そうとしたが…、勢い余って、風間の背中にぶつかってしまった。
それは必然的に風間に抱き着く形になってしまった訳で、
あ…先輩、あったかいな… とか千鶴がポーっとなっている間にも風間は限界に達していた訳で、
狼が一度逃がした獲物をもう逃がすわけがない訳で、

ブツッ(理性の糸が切れた音)

「せんぱ…い?」
千鶴が不思議に思って風間の顔を覗き込もうとすると

グイッ
「んっ!?」
無理やり引き寄せられ、抵抗する間もなく唇が押し付けられた。
「…ゃ…っ」
千鶴が掴まれていない左手で風間の身体を押し離そうとするがびくともしない。その間にも角度を変えられ唇を強く押しつけられる。
「ふ… っ…」
今度は掴まれた右手をなんとかしようと右手を掴んだ風間の手を剥がそうとしていると
「……ちっ」
面倒に思ったのか左手までも掴まれ両手を片手で頭の上でまとめられた状態で壁に押し付けられた。
風間が唇を重ねるたびに鳴るリップ音が千鶴の身体の熱を煽る。

「…んっ……っ!?」

何分もの長いキスを受けて緩んでいた千鶴の唇の間を風間の舌が侵入し、千鶴の舌を探し当てる。

クチュ ピチャッ

「…ふ ぁっ… 」

風間の舌が千鶴の舌を絡み取り、呼吸さえままならない。そのため千鶴は呼吸するために唇の角度を変えた瞬間に必死で息を吸い込むが、また直ぐに唇を塞がれて舌を絡め取られる。

「んふ、ぅ…ぁ…は」

千鶴の唇から漏れる声は風間の理性を更に奪うのには充分なもので。風間は更に深くまで舌を侵入させ千鶴の口内を舌で犯した。

「んっっ…はっ…ふぁ…」

両手を塞がれ身体を壁に押し付けられている千鶴は抵抗できるはずもなくただ風間の舌を必死に受け入れるしかなく、
初めてこんな深いキスをする千鶴がタガが外れた風間のキスに堪えられるはずはなく、
「………っ…」
千鶴の意識は徐々に薄れていき、風間が千鶴の洋服のボタンに手をかけたところで千鶴は完全に意識を失った。
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