BOOK
□雪村千鶴の憂鬱
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「勉強しないのか?」
ニヤニヤしながら風間先輩が話し掛けてきた。この人…絶対わたしをからかって楽しんでる…っ
「勉強します…っ!」
こちらをニヤニヤしながら見ている風間先輩は無視して教科書を取り出し問題を解いていく。
…カリカリッ………
「………。」
……あれ……嘘、……なんで……どうしよう…、全然 ワ カ リ マ セ ン 。
…くっ、最近勉強をおろそかにしていたとはいえ…苦手な数学の勉強をしているとはいえ、…………… こ、これは………
「どうした?手が止まっているぞ」
「ひっ、せ せんぱい!?」
考えこんでいたせいで先輩が隣にいたことを忘れていた。
「こんな問題もわからんのか」
「えっと〜…」
せ、先輩っ距離が近いです……
「ここはx=ab±√4b±2ac/2yの公式を当て嵌めろ」
だからえっと…距離が近いです
「え、あの、y…で…?」
「…はあ、x=ab±√4b±2ac/2yだ、話をちゃんと聞け」
「す…すみません…、」
なんだか、自分だけこの距離を気にして問題に集中できてない…みたいで、悔しいのでこの距離の近さには、あえて触れないで問題に集中することにする。
風間先輩に教えられた通りに公式を当て嵌めて解いてみると…
「で、できた…!」
「ふん、当然だ」
は、はじめて風間先輩を尊敬したかもしれない…。口が裂けてもいえないけれど。
「風間先輩って成績よかったんですね…」
「どういう意味だ。」
あ、口が滑りました。
「いや深い意味は…ないで…す」
質問をはぐらかして教科書の問題をまた解きはじめる。
「……。」
「……。」
し、静かだ…っこれは…話題を提供したほうがいいんだろうか?で、でも今日の目的は勉強会なわけだから…そんなに話す必要もないよね…?
「 ……。」
風間先輩が静かなのが不気味なので視線を動かして隣を盗み見てみる。
「……。」
うわ、風間先輩が勉強して…る!?(失礼) か、風間先輩の真剣な顔は初めて見たかもしれない。…………今更だけど、風間先輩は格好いいといって差し支えない顔立ちをしている。目も切れ長だし、唇も薄くて綺麗(たまに意地悪に歪むけど) 整った高い鼻に…あ、まつげも長くて綺麗だな… 女のわたしのまつげなんかより絶対長い…っ はあ、女として自信無くしそう、