ストーリー

□05
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シャッ、とカーテンを開けばその奥に居たのは化町婆裟羅、服装はレディーススーツだスラリと身体のラインがはっきりとわかるタイプのものだった
それを見た仁王の感想

「おまんいったいいくつぜよ」
「でも似合うだろ?」

否定はできなかった。
自分の身なりを鏡で見ながらなんか違うなー、と呟いてカーテンを締めて姿を隠した
当たり前だ、中学生でスーツが似合う女子もなかなかいない

「いつまでやっとるんじゃ」
「飽きた?」
「ちょっと」
「んじゃ、これで最後」
「‥‥‥」

毛糸のカーディガンで下は短く何層にもにもなっているような白いスカート、膝までのブーツで足首から膝までをふわふわとした毛皮で覆われている ニット帽を被りボンボンを摘まんでニコニコと笑っている 白を基調とした服装
こてん、と首をかしげて上目遣い‥‥

「に、似合っとるなり」
「ありがとう。
あ、店員さんこれこのままお会計してもらってもいいですか?」

はい。と営業スマイルを振り撒いて化町の服の会計をして値札を切った
女性店員ばかりの店だったため仁王をみる店員の視線には熱が籠っていて仁王は人知れずにため息を吐いた


なぜ俺が化町と一緒に仲良くショッピングをしてるのか聞かれたなら少し遡って話をしなければならなくなる
今日の部活動は珍しく休みだった予定もなく意味なく無意味に外出はキャーキャー女どもが五月蝿いから絶対せずに休日を過ごすはずだったのだか なんの気紛れか絶対しないはずの外出をしてしまった
まあラケットのグリップやらの消耗品を買いに行くのも必要だったからいずれにせよこのきに買っておいた方がいいと思ったのもまた事実

そしてスポーツショップに行こうとすれば女からの熱い視線 この容姿は無駄に目立つから時々不便だ
変装してくるべきだったかとため息を吐いたがもう後の祭り 今から戻るのも気が引ける
そんなときにこれまたショッピングに来ていた化町とばったり出くわした

「仁王雅治じゃねぇかよ一人か?」
「化町‥‥」
「んだよ憂鬱そうな顔しやがって、にしても男が一人でショッピングだなんて虚しいにもほどがあるぜ」

ニヤニヤと明らかにからかうような笑みを浮かべている化町の手には某ブランド靴屋の紙袋が握られている

「別にショッピングじゃないぜよ」
「ふーん、まどうでもいいけどよ暇なら手伝えよ。
もっと買う予定なんだが予想以上に荷物が重くて困ってんだよ」
「‥‥‥わかったなり」

悩んだがスポーツショップで買えば俺の用事は済んでしまいやることがなくなるために 化町の荷物持ちを請け負って化町から紙袋を受け取った

「んじゃ、気張ってデートと洒落込もうぜっ」
「どっちかと言えば付添人って感じなりね、」
「まぁ何にしろ俺の初デートをお前にくれてやるよ。せいぜい楽しもうぜ」

初デート、その単語に少しフリーズしていると隣に並んだ化町はニコニコと酷く楽しそうに笑いながら 俺の少し前を歩いて辺りのショーウィンドーをキョロキョロと忙しなく見ている
子供っぽいと思ったのは内緒ぜよ


こんなやりとりがあったのが約一時間前くらいになるのだろうか‥‥
女子のショッピングほど男にとって地獄はないとすら思った
ある意味拷問のよう‥‥



おわり

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