シリーズ

□無我夢中 〜私の部屋で〜
1ページ/10ページ





 「んっ、んっ…じゅん…ちゃんっ!」


 目を強く閉じて、声を出さないように
 我慢して、ベッドの上で好きな人のこ
 とを考えながら自分の手を下着の中に
 入れる。


 自分の指を彼女のモノだと想像して、
 耳元で囁いてくれた彼女の声を思い出
 して…。



 「…ぁっ、ふっ!んんっ…じゅ、ちゃ
 …潤ちゃん!……ぁんんっ!!」



 身体がビクビクと震える。


 空気を取り込みながら一人で呟く。



 「…潤ちゃん、好き…」



 そして、彼女の言葉を思い出す。


 『…花代先輩、好きです』



 「…大好き、大好き、大好き…」



 何度口に出しても足りないほど、潤ち
 ゃんが愛おしい。






 潤ちゃんが私の家に来たあの日から、
 2、3回ほど一緒に帰ると潤ちゃんと
 は一緒に帰れなくなってしまった。


 喧嘩をしたからとか、そういう理由で
 はなくて、学校行事の準備のせいで…。


 数週間後に体育祭がある。


 その実行委員に潤ちゃんがなったらし
 い。



 「…私も、実行委員になればよかった…」



 潤ちゃんと一緒にいられるなら、実行
 委員だって何だってするのに…。



 潤ちゃんは、実行委員の仕事で遅くま
 で学校で準備をするからと毎回メール
 をくれる。


 『今日も体育祭の準備があるので一緒
 に帰れなくなりました。一緒に帰れな
 くてすみません』



 携帯を開いてメールの文を読み返す。



 だけど、潤ちゃんからのこういうメー
 ルが嬉しかったりもする。



 「…恋人同士みたい…」



 “一緒に帰れなくてごめんねメール”
 付き合ってる人達がするメール。

 それが、すごく嬉しい。




 そのことを、昨日、潤ちゃんに電話で
 話したら、『何言ってるんですか私達
 ちゃんと付き合ってるじゃないですか
 』と言われて更に嬉しくなった。


_
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ