DISTINY

□必然の再会
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彼がヘッドフォンを外したあと
しばらく立ち尽くしたまま
動けなかった

もう一度逢いたい、
そう思っていたのに
いざ逢ったら
どうしたらいいのか
わからなくて


「また、来てたんや。」

『うん。』

「…。」

『君は、図書委員の仕事?』

「…そんなとこっすわ。」

『そっか。』

「…座れば?」

『君の邪魔に…ならない?』

「別に、何もしてへんし。」

『そっか。』

「…。」

『あの…』

「…?」

『名前聞いてなかったな…
って、思ってたんだ。』

「せやったっけ?」


私は黙って頷いた


「財前…光。」

『財前くん…か。』

「俺も…三崎さんの
下の名前知らへん。」

『三崎、佳奈。』

「…三崎佳奈さん。」



お互いの顔を見て微笑んだ

その優しくて綺麗な笑顔に
私はまたドキドキしていた



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