DISTINY

□出逢いは涙と共に
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その時突然声が聞こえた


「…誰かおるん?」


その声は
入り口から聞こえていた
鍵が開いていたくらいだから
誰かが来ても
おかしくはないけど…


「…誰?
ここで何やってん?」


声の主が姿を現し
単純な私が最初に思ったことは
なんて綺麗な男の子なんだろう…
ということだった


『…。』

「…聞いてはります?」

『え…?』

「アンタに聞いてるんやけど。」

『あぁ…ごめんね。』

「別に…ええですけど
…なんで、泣いてるん?」


言われるまで気が付かなかった
私…泣いてたんだ

自分の頬に触れれば
確かに涙がつたっている


『…。』


これはやっぱ気まずいよね…?
そう思って、涙を拭いながら
笑顔を無理矢理作って話を逸らす


『君って図書委員?
もしかして仕事の邪魔だった?』

「図書委員ってのは
あたってますけど。」

『ほんとに?
私も図書委員だったんだ。
懐かしいなぁ…』

「だから何なんすか。」


冷たくそう言われ、私が黙ると


「こっちの質問にも答えてや。」


今度は優しくそう言い
目の前にティッシュの箱を
差し出された



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