DISTINY

□重なるトキ
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背中から伝わる床の冷たさ
私は瞬間的に
光に押し倒されていた


「…なぁ、佳奈?」

『…な、何?』


急に呼び捨てにされた名前
距離は息が触れるほど近くて
ドキドキが伝わってしまいそう…


「そんな目で見られると
こっちがもたへん」

『何、言って…』


掴まれた手の指先が絡められた


「俺のこと
誘ってるんかと思ったわ。」

『…』

「俺、男やで?」

『…うん』

「このまま、俺のモノに
なってくれへん?」

『え…?』

「…」


そう言った顔はどこか切なくて


『光…』

「ごめん
佳奈さんの前やと
俺いっつも余裕ないねん。」


光は嘲笑して
身体を起こし顔を背ける
でも、そんな光が
可愛くて、愛おしくて


『光…』


気が付いたら
自分から唇を重ねていた
触れた手から
光が私と同じくらい
ドキドキしてることを知った


「佳奈さ…」

『好き…光が、好き。』

「…なぁ、もっとこっち来てや。」


そう言われて寄り添うと
ぎゅっと抱き締められた


「佳奈。」

『ん?』

「俺のこと…好き?」

『好きだよ。』

「…俺も好き。」


そう言って
何度もキスをして
何度も抱き合った

この夜が
明けなければいいのに


.
 

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