DISTINY

□言えない言葉
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『そう…なんだ。』


何か言わなきゃ
変に思われる…
そう思うのに何も出てこない

好きな人がいる
そう聞いて目の前が
真っ暗になったみたいだった

でも、それは現実で、
近付いてきた財前くんの影で…


『…?』


不意打ちだった


『…財ぜ…んっ』


唇から伝わる財前くんの熱
咄嗟に拒絶なんてできなくて

私はどこかで
こうなることを
望んでいたのかもしれない


「三崎さんは
俺なんか相手にしないと
思うてました…」

『…。』

「でも、
図書室まで会いに来くるし…
期待させたん
三崎さんやで?」

『あの…』

「好きです、三崎さんが。」


そう囁く彼が
心から愛しいと思う


『私も、気付いたら
財前くんのこと考えてて
私なんて
恋愛対象じゃないかなって
そう思ってたけど
…好っ……』


"好き"
そう言いかけたところで
財前くんに強く抱き締められた


「俺、相当好きみたいっすわ。」


そう囁いたあとの2回目のキスは
優しくて甘いキスだった


.
 

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