DISTINY

□顔見知り
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差し出された箱から
ティッシュを取り涙を拭った
こんなところを見られるなんて…

なんとなく顔上げれない私を
何も言わずに見ていた
男の子は急に


「三崎…さん?」

『え…?』


自分の名前を呼ばれて
驚いて顔を上げる


「…やっぱり。」

『なんで…名前…』

「顔はよく見かけるし。
名前は先生と話しとるときに。」

『先生って…オサムちゃん?』

「おん。」

『そっか…。』

「…今日おらへんかったやろ。」

『うん、だからここに…
図書室、好きなんだ。』

「いつもなら…鍵
締まってたとこやけど。」

『そうだよね。』

「閉め忘れただけやったけど
…ここの鍵開けといて
よかったわ。」

『…うん。』


予想外の優しい言葉に
私は隣の男の子をまた
見つめてしまった



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