吹溜まり−おはなし−

□fine weather day
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社会に出て、認められる人間には2種類いる。


《目に見える結果をはじき出す人間》と、《結果を出させるために徹底したサポートをする人間》


トップに立つ要素が自分にないと考えるならば、トップに立つ人間にとって必要不可欠な人間になればいい。


結果が全て、と言うが、結果を導き出す材料がなければそれも出来ん。


だから《徹底したサポートをする人間》が必要になってくる。
結果を出すために、《いなければならない》種類の人間になればよいのだ。

抜きん出る才能がない者は、抜きん出たサポートが出来る者を目指す。

そうすれば自ずと認められるのだ。


大久保先生は卒業式の後、最後のホームルームでそう言って、いつものような不敵な笑みをニヤリと浮かべて見せた。


お前たちの10年後を私は楽しみにしている。
学校はいわば巨大な実験場だ。
教師という名の『研究者』に、生徒という『被研究者』。
まぁ、言葉を悪く言えば『モルモット』だな。
『研究者』は日々己の人生を賭けた実験を繰り返している。


実験の結果が出るのは、遙か先のこと。
己の実験方針によって、世界すら変えてしまうことにもなりかねん。

私は果たして、君達にどんな影響を与えられたのか、結果が出るのが楽しみだ。


多かれ少なかれ、人は周囲に面倒をかけながら生きている。
重要なのは、その面倒を何処まで己の行動で相殺できるかだ。
今まで面倒をかけてきた人間に、『これならば今までかけられた面倒も、その甲斐があったというもの』そう言わせる人間になれ。
それはこの私にとて例外はなしだ。
色々語弊のある言い方をしたが、つまりは。



お前たちの周りの人間が、お前たち自身を誇れるような、そんな人間になれ。
そして自分自身も己を世界中に誇れる人間に。


今日のこの日が、善き日となるか、悪しき日となるか。
それを決めるのは君達自身だ。


大久保先生は、そう偉そうに言い放つと教室の入り口に向かった。

そしてあっと言う間に教室のドアを開けて、


話は終わった。君達のここでの生活も終わりだ。
用があってもなくても、さっさと出て行くことだ。


そう言い放って自分も颯爽と出て行った。

教室に静寂が満ちたのはほんの一瞬だった。




『イェーイ!!大久保ティーチャー!』





次の一瞬、何ともおめでたい雄叫びと共に教室の隅々にまで満ちたのは賞賛の嵐だった。

嵐は机の上を這い、教室の後ろにあるロッカーの一つ一つを四隅まで四角く満たし、黒板消しクリーナーに溜まったチョークの粉をくすぐり、今日のために飾られたいつもよりちょっと良い花を眩しく見せた。


膨れ上がった興奮のままに誰からともなく教室を飛び出して走り出した先にあるのは、ぴんと伸びたしなやかなスーツの背中。

お前達はこの一年私の授業を真面目に聞いていたのか!?と言いながらも振り返った先生は唇を大きな笑みの形に変えて、満足そうに笑っていた。




【fine weather day】


*****

私の学パロは全てあの方からの影響です(笑)
だめじゃーんorz

はち



 

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