不器用な相思相愛


□"負の心"無くとも、実際に起きた"事実"は消えず
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◆蜜瑠:中2の冬:某総合病院にて◆

 目をあけると、そこには楓が居た。

「蜜瑠!! よかった…目が覚めたんだな!」

「…ここは?」

「病院だ。」

 病院…?

「何で、俺は此処に居るの?」

 自分で言ったその刹那、すべての記憶が蘇った。

「あぁ、そうか。…俺、裏切られたんだな。」

 すべて演技だったんだな。瑠夏と璃美はグルだったんだ。

 ずっと、信じていたのに…。



 しかし、俺は裏切られたことに対して、不思議にも"何も思わなかった"。



◆瑠夏:中2の夏:第2体育館 第3倉庫にて◆

「ちょっと、行きたいところがあるんだけどいい?」

 そう言って、彼女が連れてきたのは、第2体育館の第3倉庫。
 途中、疑問に思っていた俺だったが、彼女は「いいから、いいから!」の一点張りだった。
 そこで言った、彼女の言葉。

「あなたには、ここで死んでもらうわ。」

 俺は、一瞬耳を疑った。

「何だって!?」

「だから、死んでもらうのよ。」

 そういって、彼女はナイフを取り出す。
 俺は抵抗しようとするが…

「!」

 なんで…体が動かない…!?
 俺は崩れ落ちた。
 俺は半ばあきらめた…が、璃美は第3倉庫から出て行ってしまった。
 なぜだかは知らないが、これはチャンスだ! そう思い、俺は言う事を聞かない体を少しずつ…何とか動かし、携帯電話を取り出した。
 いつ帰ってくるかわからない璃美。それだったら、警察を待つより、友達を呼んだほうが早いだろう。そう考え、俺は蜜瑠に電話を掛ける。
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