不器用な相思相愛
□"負の心"無くとも、実際に起きた"事実"は消えず
2ページ/5ページ
◆蜜瑠:中2の冬:某総合病院にて◆
目をあけると、そこには楓が居た。
「蜜瑠!! よかった…目が覚めたんだな!」
「…ここは?」
「病院だ。」
病院…?
「何で、俺は此処に居るの?」
自分で言ったその刹那、すべての記憶が蘇った。
「あぁ、そうか。…俺、裏切られたんだな。」
すべて演技だったんだな。瑠夏と璃美はグルだったんだ。
ずっと、信じていたのに…。
しかし、俺は裏切られたことに対して、不思議にも"何も思わなかった"。
◆瑠夏:中2の夏:第2体育館 第3倉庫にて◆
「ちょっと、行きたいところがあるんだけどいい?」
そう言って、彼女が連れてきたのは、第2体育館の第3倉庫。
途中、疑問に思っていた俺だったが、彼女は「いいから、いいから!」の一点張りだった。
そこで言った、彼女の言葉。
「あなたには、ここで死んでもらうわ。」
俺は、一瞬耳を疑った。
「何だって!?」
「だから、死んでもらうのよ。」
そういって、彼女はナイフを取り出す。
俺は抵抗しようとするが…
「!」
なんで…体が動かない…!?
俺は崩れ落ちた。
俺は半ばあきらめた…が、璃美は第3倉庫から出て行ってしまった。
なぜだかは知らないが、これはチャンスだ! そう思い、俺は言う事を聞かない体を少しずつ…何とか動かし、携帯電話を取り出した。
いつ帰ってくるかわからない璃美。それだったら、警察を待つより、友達を呼んだほうが早いだろう。そう考え、俺は蜜瑠に電話を掛ける。