君と交わした約束のために
□淡い恋心を抱いて
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「…お前は何者なんだ。」
リオンはユキを訝しげな目で見る。
『だから、僕の息子です。』
シャルが当たり前のように答える。
「千年も前の人物が生きている筈がないだろう。」
…そう思うのが当然だろう。
「でも、こうして俺は生きている。」
「証拠はあるのか。」
「いや、無い。強いて言うなら突然現れたことかな。」
確かに、ユキは光に包まれながら突然現れた。
「信じられないよな…。でも、俺は千年前の人物なんだ。」
『本当なんですよ?』
シャルもそう言ってるが、やっぱり信じられない。だが、あまりにも知りすぎているような気がする。シャルの存在と、その二人の間の雰囲気、そして僕の事。
取り敢えず質問を変えてみる事にした。
「じゃあ、何故此処に来た。」
「…貴方に、リオンに会うため。」
突然ユキの雰囲気が変わった、まるで別人だ。神聖で神々しい雰囲気を放っていた。…とても綺麗だった。不覚にも見惚れてしまった。
「たとえ君が何と言おうと、君が俺を避けようとも、俺は、君から離れない。…ずっと君の傍に居る。」
「なっ!」
「…と言う事で、これからよろしくな、リオン。」
突然もとの雰囲気に戻った、ユキ。
「…お、お前によろしくされる…つもりはない。」
「そっか、冷たいなリオンは。でも、俺はそんなんじゃめげないぞ。」
『ユキ、頑張って!』
「あぁ、ありがとう、シャル。」
「シャル…お前は応援するな。」
『えぇー。だって、僕の息子なんですよ? 応援するに決まってるじゃないですか。』
「知るか、そんなこと。」
『坊っちゃん、酷いです。』
「ソウダ、ソウダー。」
『それ、棒読みすぎない?』
「アハハー。ソンナコトナイゾー。」
「…はぁ。」
「あ、リオン。ため息つくと幸せが逃げるぞ。」
「余計な御世話だ。」
「えぇー、御世話さしてよ。」
『ユキってば大胆! けど、僕の息子なんですから、きっといいお嫁さんになれますよ!』
「いや、シャル。それはおかしいだろ。俺は男だ。嫁ならリオンの方だろ。」
「お前…!」
「どうした? リオン。」
「な、何でもない。」
ふわりと笑う、ユキを見たら、怒る気が失せてしまった。あまりに、綺麗で…可愛らしかったから。矛盾しているようだけど、そうとしか表せなかった。