君と交わした約束のために


□淡い恋心を抱いて
2ページ/7ページ

 それは、まだ僕が小さかった頃の話。




  淡い恋心を抱いて
   〜初恋は実らない…?〜



 客員剣士になってまだ、間もない頃――。
何時も通りに任務を終わらせ、森の中帰路に着いていた時の事。

『坊っちゃん。』

「あぁ。分かっている。」

 敵意は全く感じられなかったが、とてつもない強力な力を僕たちは感じていた。

 その力を追うように歩いていると、森の中一際目立つ大きな樹の所まで来た。

「誰も居ないのか…?」

 リオンがそう呟いたのと同時に、樹の付け根の付近から、小さな光が現われ、それは次第に大きくなっていく。

 リオンは思わず眼をつぶってしまう。

「! 何なんだ、一体…。」

 大きな樹を包むほどに大きくなった光は、次第に小さくなり…そして、消えた。
 光が消えたそこには、1人の少年が樹にもたれかかるようにして座っていた。

「意識はないようだな。」

 リオンがどうしようか思索にふけっていたが、シャルティエの一言により現実に戻される。

『ユキ…?』

「知っているのか?」

『彼は恐らくユキ アイクトゥルスです。』

「アイクトゥルス…?」

 アイクトゥルスといえば、千年前――。
子孫か何かか?

『はい、僕の息子です。』

 シャルの肯定の後に続いた言葉は、驚愕のものだった。

「…はぁ!?」

「…ん・・・。ここは…?」

 リオンの声が大きくて、目を覚ました模様。

『あ、目が覚めたんですね!』

「あ…はい……。…ってシャル!?」

『やっぱり、ユキだったんだね。…良かった再会できて。』

「俺も凄く嬉しい…。」

「…おい。僕はスルーなのか。…いい度胸だ。」

「ごめん…つい…ってリオン!?」

 そう言った瞬間リオンの目つきが変わる。

「何故僕の名前を知っている。」

「はっ! …いや、その…リオンって有名人じゃん…?」

「まだ、客員剣士になったばかりだが、もうそんなに有名になっていたとはな。」

「え!? そうだったの!?」

 失言に気付いたときにはもう遅い。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ