不器用な相思相愛
□"かの者"は打ち明ける
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(Upload-2011/02/05/SAT/pm09:30)
(LastUp-)
「良かった、目が覚めたんだな。」
そう言ってきたのは、久遠千里。蜜瑠が声優の道を選ぶきっかけとなった人物だ。
「千里か。」
「…大丈夫か?」
何だろう? 蜜瑠の雰囲気が変わった。人を突き放すような、それでいて何処か虚ろで悲しそうな目。後者のほうは極限られた人物にしか解らないだろう。
「あぁ。それと…もう俺には近づくな。」
「! いきなり何を…!」
「俺はお前も他の奴らも、大嫌いだ…信用できない。…だから俺にもう関わるな。」
そう言って、蜜瑠は、足早に保健室を出て行った。
俺の伸ばした手は、蜜瑠に届かなかった。
The 4th Story
ミツルは打ち明ける…?
〜"かの者"が下した"本当の"決断は未だ解らず〜
俺は、足早に家へ戻ると、ヴァイオリンを取り出す。
こうやって、奏でるのは久しぶりだな。
一週間ぶりくらいだろうか。
そして、俺は奏でた。
その日、響き渡った音色は…
孤独と…不安と…
自らに対する…諦め――。