不器用な相思相愛
□"負の心"無くとも、実際に起きた"事実"は消えず
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(Upload―2011.01.23-SUN-16:20)
(LastUp―2011.02.05-SAT-21:15)
◆蜜瑠:中2の夏:夏休み前日の中学校にて◆
いつも通りに、学校に登校すると、瑠夏と璃美は休みだった。
残念に思いながら、退屈な終業式を終え、帰路に着こうと、立ち上がる。
刹那、電話が鳴り響く。
ディスプレイには瑠夏の名前。俺は迷わず電話に出た。
…この時電話に出ていなかったら、どうなっていただろうか…?
「もしもし?」
「助けて…!」
「! どうした!? 今、どこにいる!?」
「第2体育館 第3倉庫に…」
その直後電話が切れる。
俺は、迷わずそこに向かった。
◆蜜瑠:中2の夏:第2体育館 第3倉庫にて◆
俺はそこに迷わず駆け込んだ。
目の前に映るのは、瑠夏の口と両手両足が縛られている光景。
「瑠夏!」
俺がそう叫ぶと、瑠夏は、首を非連続的な動きで横に振り、何かを叫んでいる。
何を言おうとしているのだろう? そんなことを考えていると、不意に後方から気配を感じる。
「!」
しかし、そう思った時にはもう遅くて、俺は口に布を当てられ、もがこうとするが、意識は遠のいてゆく。
◆蜜瑠:????:????◆
そこは、とても暗い。
真っ黒な闇の中――。
俺に、話しかけるのは誰…?
【もう、見ていられない。…これ以上お前が苦しむのを見たくない…!】
「君は、誰?」
それに、もう見ていられないって…君はずっと俺を見ていたの?
君は"いつから"俺を見ていたの?
――君は一体…誰?
【俺は…誰なんだろうな。わからない。…でも、ひとつだけ言えるのは、お前の代わりになれるということだ。】
「俺の…代わり?」
【俺は、お前が苦しんでいるのを見たくないんだ。だから、苦しみは全て俺が背負う。】
俺は悟った。これは"自分"なんだと。
「でも、それじゃあ、君が…。」
【俺のことは心配するな。こういうのには強いんだ。だから…お前の負の心を俺に背負わせてくれないか。】
俺は、渋った。そして、断り続けた。
しかし、彼もまた粘った。
そして…長い、長い、時が流れ――ついに俺が折れた。