深い夢

□1《はじまり、はじまり》の段
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ふわふわ
ゆらゆら



体も、意識も
心さえも、浮き上がり、漂う。

留まらず、ただ身を任せていた。
まるで無重力の世界。



瞑っているのに感じる眩しさにまぶたをあげると、視界全てが青だった。



ここは、どこだろう。



起き上がりたいのに体は動かない。
呟いたつもりの言葉は掠れた呼吸となって口から漏れていく。

視線だけで周りをゆっくり見渡してみる。

上のは…空。
これは…海…?


青の正体をぼんやり認識したけど、いくつも浮かび上がりそうな疑問全てが不思議と消えていく。

再びまぶたを下ろし、無重力の世界に身を任せると…なぜか涙が頬を伝っていった。


(あぁ、もう会えない)



『誰』の事かもわからないのに、ただ漠然とそう感じた。


(もう、会えない…)


浮ついていた心が、とぷんッ…と静かに深く沈んだ気がした。





止まらない涙は、海と同じでしょっぱいから…きっといくら流れても、誰も気づく事なんてないだろう。

 
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