魔王-Not-

□γ 淡雪舞:グェンダル×ユーリ
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 それは、とある冬夜のことだった。
渋谷有利原宿不利こと渋谷ユーリは、いつもの様に眞魔国の歴史やら政治・経済とか眞魔国語などの自主学習を黙々としていたりする。
しかも、真夜中に・・・。
本来ならば、午前中のうちに全て終わらせたかったのだが、似てねえ三兄弟の末弟 わがままプーことフォンビーレフェルト卿ヴォルフラムに付き纏われるし、養女で愛娘のグレタとお手製トランプで白熱のバトルを繰り広げたり、王佐の(うんたらこうたら)卿ギュンターとは・・・・・色々あったらしい。
 で、丸一日つぶれてしまい、やるはずだった自主学習をこんな真夜中に行なう羽目になってしまった。

「え・・・っと、794(ナクヨ)鶯 平安京・・・じゃなくて!!」

 ちなみに、今しているのが“眞魔国の歴史”だったりする。

「だぁぁぁあああああ!! もういい。休憩しよ、休憩!!」

 開始から数分も経たないうちに、休憩に入ってしまった。
ぶつぶつと文句や言い訳がましい独り言を呟きながら、ユーリは南向きのバルコニーに続く窓辺に歩み向かう。

「うわっ、さぶっ!! つか、何℃だよ、只今の外気温は?!」

 ベランタに出ると冷たく湿った外気が、無防備な身体にまとわり付いてくる。
寒さに身震いし、自身を抱くように身体を縮めているとふんわりてした“何か”が、音もなく鼻先についた。
その冷たさに驚き、頭上の夜空を見上げると大小様々な粉雪が、はらはらと舞い降りてきた。

「ぅおぅっ、マジで!! 雪!!雪だ、雪降ってきた!! だから、日中から妙に寒い筈だ」

 真夜中に年甲斐もなく、大はしゃぎするものだから、近所迷惑この上ない。
数分後、はしゃぎ疲れたねか幾分落ち着きを取り戻した。
ぼぉーっと、漆黒の夜闇からはらはら舞降る粉雪を見眺める。
そして、無意識の内に両手を夜空にかざし上げた。

「・・・・・・キレー」

掌に舞い降りる粉雪と寒さで感覚の無くなった青白い手を見つめながら、はぁーっと白い吐息を吹き掛ける。
まるで、ドラマの1シーンのように・・・。
ちなみに、彼の母君も世間の奥様方同様、パーだかぴーだかプーだかが出演している某国昼メロドラマに大ハマりしてしまい、父君に内緒にしているへそくりで、DVD全巻や其の他多数の関連グッズを買い占めていたりする。
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