短篇録

風ノ旅ビト  遺跡
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一筋の星が吹雪に覆われた山々を越え、地底へと潜った。


冥闇の世界を迅り抜けた星は、再び地上に出ると、大いなる山を背に都の遺跡群を突き切り、広大な砂海を渡った。


行き着いた場所は小高い丘。


星は夜風に抱かれながら、丘の向こう側へ落ちていった。


































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砂の上で目覚めたシェラは、赤いローブを身に纏っていた。

顔を覆う漆黒の仮面が、吹き荒れる砂埃から素肌を護る。



丘を登ると、斜面を下った先に幾つもの、数え切れないほどの墓標が立っていた。

このような荒れ地で死んでいった者達は、一体何のために生命を落としたのだろうか…。


シェラは仮面の両眼の部分にあしらわれた白い結晶石を通して、荒れた大地の最果てを見据えた。

靄がかった空に、輝く山の頂きがうっすらと浮かんでいる。



“有れを、目指せ”

何者かの声が、そう心の中で告げている。


(あの輝く山。あの山頂まで…)


丘を滑り降りたシェラは墓標の群れをすり抜け、輝く山の方角へ走った。
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