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□こんな日も悪くない
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朝、相変わらず何年経験しても冬の肌を攻撃するような寒さには慣れない。布団からにょきっと左腕をだして耳に悪い毎朝の天敵の遣いである目覚まし時計の急所の頭を必要最低限の力で攻撃した。瞬殺だな。
そして次がラスボス、`睡魔'だ。こいつは私の気分や記憶次第でとことん強さを発揮してくる恐ろしい奴で何度戦っても攻略はできない。幾度となく相手をしてきたがやはり私の敵である。もう嫌だよまじなきてー。毎日毎日任務任務って何なの何なの。どうせ草刈りだったりペット探しだ散歩だ子守りだ、忍びがやることじゃないとかそんなことの前に私は今強烈に眠いんだ。私がいなくてもあの3人でなんとかやれるよきっと。もともとスリーマンセルだったのに筆記以外は全部適当でナルト並の成績だったのになんで合格しちゃうかな、訳わかんねーってばよ。それに成績優秀容姿端麗文武両道天才ルーキーらしい私とナルトの穴をひとりで埋めてくれるうちはサスケくんがいるんだし、いいじゃんいいじゃん。これで可愛い恋する乙女サクラのターン到来だよやったねひゃっほーい。とにかく私は眠い。どうせカカシせんせーは遅刻してくるだろうし1時間、いや1時間半、いやいや2時間は寝てても怒られないだろう。三人とも仲良く寒いお外でカカシせんせーをじっと待っとけばいいさ!
「…起きろってば!!」
耳に突き刺さった聞き覚えのある声に一瞬だけすっかり重くなって今にも夢へ旅立とうとしている瞼を開けたらなんで目と鼻の先にナルトくんがいたのかなー。思わずまた瞼をおろして白い光にまた戻った。あれたしか私一人暮らしだったよね。しかも何馬乗りなんだよ、おい。綺麗な金髪が今じゃ太陽の光に反射して眩しくて目障りだった。いつもの私ならぎゅーって今すぐにでもできるんだけど駄目だ。こりゃ駄目だな。とりあえずここの施設の防犯対策どうなってるんですかね、ありえねー本当に物騒だわ怖いきゃー。
「今日も任務!張り切って行くってばよ!」
おーきーろーっとかやーめーろって。激しく揺すられて何気に苦しい。気分悪い。まあ、だからと言って起きるつもりないけどね。はいざんねーん出直せしゃんなろー
「ナルトー起きた?」
「ぜーっんぜん!でもさっきちょっびっとだけ目ぇ開いてすぐ閉じちまった!あーあ、カカシせんせーも来ねーし暇だったから迎えに来たってのにさ。つーまーんねーの。ばーか」
なんだと。ばかとか言われたナルトに。あのドベナルトに。(なんかマクドナルドみたいだうーけーる今度使ってやろう)これはショックだ。腹立ってきたぞ。ナルトあとで覚えておけよ。家にあるカップ麺全部の蓋半分どころか全開しといて3分待つときに使えないようにしてやる。そんなこと考えて未だに狸寝入りのをしていたらサクラともう一人の気配を感じた。多分サスケくんだな。きゃー部屋の掃除しとけば良かったーなんてサクラみたいに思わないがな。だが汚いのは認める。残念だが。
「…あほづらだな。」
「んだとサスケ、やんのか!?あぁ!?」
いや、多分お前に言ったんじゃない。お前も大概あほづらですけど、あ、でもそこが可愛いよ!だから頼むから、ここでというか私のこの顔面(あほづら)の上で喧嘩はやめてくださいお願いします切実に。え、ちょ、ナルトお腹に乗って来たんですけどリバースしそう。うええぇっ。まあそれでもこのやっとのことで温めた布団を手放すつもりは全くもってないがな。つかカカシせんせー大丈夫なのかわいそうでしょ。遅刻してきて誰もいないとか。あ、でもいつもの仕返しとしてもとれるか。上忍さんだからすぐこっち来るだろうがね。うわやべえ七班みんな揃ったらますますうるさいってばよ。
「ナルト!サスケくんにいちいち突っかからないでよ!!どうせ勝てっこないんだから!」
やーめーたーげーてー。
その台詞だけはやめてーほらほら私のお腹の上で跳ね始めたよ。そんなのやってみなきゃわかんねーってばとか跳ねながら言わないで。じたばたしないで。苦しい死ねるナルトを呪ってやる。つかあんたら何しに来たんだよ。大声上げて暴言吐いて喧嘩してお腹の上で跳ねて。これじゃまんま嫌がらせじゃねーか。まじないわー。早くエリート忍者みんな大好きカカシせんせー来てください。私を助けて助けて!へるぷみー!
ガチャッ
「あ、カカシせんせーってば遅い!」
「いやいやすまん、道端で泣いてる女の子を見てな、」
「「嘘乙!!」」
にしても、お前らひどいぞ待ち合わせ場所に急いで行ったら誰ひとりとしていないんだからな。せんせ、ちょっと寂しかったんだぞーとかいいって!!タイミング良く来たんだからまじ私に気づいて!!もうあなたしか頼れる人いないの!!あとですっげー誉めてあげるから!!
「ナルト…お前…
寝癖ついてるぞ」
頼むからナルトに話しかけないでー。え、どこどこと髪触りながら地味に小さく体ひねるのやめてください。
駄目だ眠いだなんだ、もう言えない眠気も覚めそうだしこのまま行けばリバースもしくは窒息する。ナルト筋肉で重いんだよ。カップ麺ばっか食ってるくせに脂肪ないんだろ。なんでだよおい。しばらくするとお腹の重みから解放されベッドが軋む音と布団から人が入ってきたようだ。右手にはゴツゴツとした自分より大きい手が繋がっているようだ。
「ナルト、寝るの?」
「うーどうせ今日昼からだしー」
横に来たのはナルトらしい。ついでに言うとどこから出したのか勝手にお茶を啜りながらナルトに問いかけたのはサクラだろう。本をめくる音がするから多分カカシせんせで、本棚にある本を抜いたり直したり落としそうにして落ち着きがないのはサスケくんだろうな。
((なんだかかんだ言ってもたまには、))
こんな日も悪くない
後日聞くとカカシせんせーは私が狸寝入りしていたことは端から知っていたらしいが面白そうだったので、ということだ。さすが上忍、だがそれを聞いたとき今までにないくらい怒声をあげたのは忘れないだろう。
夜中仕返しにナルトの家に侵入してカップ麺の蓋だけを奪いに行ったのは当然の仕打ち。
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