s-1

□糖度0%
1ページ/1ページ

  


馬鹿だって言われても

頭ぐしゃぐしゃにされても


優しそうな柔らかい表情じゃ、
いつもより低い声じゃ

貴方じゃ


全部、全部嬉しいんだよ







「晋助さん」

「お前か・・・。」



襖を開けると窓辺に座って月光に照らされ、
いつものようにニヤリと怪しく笑いながら此方を見る晋助さんがいた

常にだが妖艶という言葉がピッタリだ



「苗字。」

「はぅッ?!」


つい晋助さんに見惚れてしまってボーっとしていたらしい。


・・・恥ずかしいッ・・・




  

晋助さんは変な声が出たあたしを喉を鳴らしながら笑う。


この顔、好きだな



「な、なんですか」

「来い。」



晋助さんは左手で畳を軽く叩く

"横に来い"と。膝枕の合図だ。



思った通りあたしの膝には
さらさらの黒い髪の感触が走り、重みが感じられる

目を瞑り穏やかな顔をする晋助さんが猫のように見える



    


晋助さんの頬を右手で撫でる
すべすべだな・・・。


「・・・苗字。」

「はい、何でしょうか?」

「・・・、いや、なんでもあるめェよ」




晋助さんが何を言いたいのかわからなくて首を傾げてると
気付いたら目の前には晋助さんの綺麗な顔がどアップ



チュッ



唇に温かいものが当たった。


 
  


何度も角度を変えて濃厚な口付け


少しずつ激しく深くなっていく
そして顔が熱くなり息も乱れ呼吸が困難になる。



我慢できなくて胸を軽く押した





「・・・・・ハァ・・・、ハァ・・・・、」





いつもと同じはずなのに

今日は


何かを求められた気がした




「名前。」
―――― 俺からは絶対ェ、言わねぇからな "





「・・・・・フフ、わかってます。」








糖度0%

彼は絶対に甘い言葉を吐きません
代わりに甘い口付けを。





log
title by シュレーティンガーの猫

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ