s-1

□立場逆転下克上
1ページ/1ページ

  

仏頂面、無表情、マイペース


その文字が彼にはぴったりだと思ってた




 
  

――――・・・・


対海南大付属戦

惜しくも敗れた我々、湘北高校


体育館に姉から借りたペンを体育館に忘れてしまったので
外は暗くなっていたが、体育館へ向かうと電気が点されていて

鈍い音


「俺が悪い!」

「俺が悪い!」


影から覗くと派手な赤毛リーゼントの長身、桜木花道と
漆黒の髪で切れ長の目でを持っている肌の白い、前者と同じく長身の流川楓が

血だらけになりながら同じ台詞をひたすら言い合い、殴り合っていた


    

彩子先輩のように止めれる力などあるはずもなく
力が抜け壁を背に蹲ってしまった己の体

止め処なく溢れ出す涙



「 勝ちたかった 」


もう過去のことだと思うともっと胸が締め付けられ
下唇を噛み締めることしか今の自分にはできなかった



鈍い音が止み、体育館を覗くと二人の姿は見えなかった



「何してんの」


「ひぇ?!」



      

頭上から聞こえた、低めの独特な声




「る、かわ」



彼の端正な顔はたくさんの怪我ができているのに
それでもカッコいいなんて思う自分の頬を叩く

流川は細長い人差し指でバスケットボールを
当たり前かのように回していた


「ナンデイルデスカ」


二人っきりでそして夜の学校の廊下と眩しい体育館
流川は基本、無口だし余計空気が重くて


「ナンデカタコト」


お前もだろ。あ、元からか
なんか可愛いって思った自分を全力で殴りたい
   

「姉貴から借りたペン、忘れたの。」

「コレ?」


流川の練習着のポケットから見覚えのあるペンがでてきた



「それ!ありがとう、流川!」


あたしが手を伸ばしたらペンを持っている手を真上に上げた

とれない


思いっきりジャンプしても空を振る手が虚しい



「あの、流川?返してくれません?姉貴、それないと明日学校行けないらしいので」





「泣くな。」


  
  


流川の口から出た訳のわからない、
今の状況で考えられない意味不明な言語が出てきた



「陵南には、センドーには絶対ぇ勝つ。泣くな」




泣いてたのがバレバレだったらしい
目、腫れちゃってるのかな



「頑張れなんて言わないよ、ペン返してくれないなら」



マネージャーとして可笑しいこと言ってるのも
流川を困らせているのもわかってる



「…名前は…何も言わなくていい」


「え」


「頑張るから」



  

あたしに言われなくても頑張ると言うのか
腹が立つな



「はいはい、それは申し訳ないですね、で返してよ」


「苗字が頑張れって言わねェから」








立場逆転下克上



「誰が言うか!!」

「…ふーん」

「あ、ちょペン!!!」 


log
title by ##LINK5##

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ