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□くれてやる
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やだ

ぜーったい、いやだから!!!











  



彩子先輩から頼まれてしまった"流川の練習崩壊大作戦"
最近、覚醒したかのようにやたらと無茶な練習を繰り返す流川に、らしい。



それに続いて桜木の基礎練の監督



ミッチーが怪我した所為で!





「お願い、名前。ね?ね??」



彩子先輩のあの綺麗な顔で上目遣いでお願いポーズって
拒否権があるわけがない



宮城先輩が可愛い可愛いってヒーヒー言ってるし。






  


「わかりましたよ、明日ミッチービンタしますから」


「ちょ、名前?!ま、いいわ。とりあえずよろしくね?!」





『はーい』と適当に返事して体育館へ戻ったら
帰ろうとしている流川とぎゃいぎゃい言ってる桜木


『俺と勝負しろー』だの『凡人がッ!』だの。
相手にされてないのになー…、虚しい



「あれ、ルカワ、帰ンの?」



「・・・どあほうがいるから集中できん」



『んだとォォォ』と吠える桜木を余所に流川は背を向けて部室へ足を向けた

一体何考えてんだろ、アイツ



 

桜木の基礎練という名の恋バナを終え、自転車で家の近くの公園の前を
通り過ぎようとしたところだった



ダムッダムッダムッ



よく聞くバスケットボールが地面を叩く音
それと砂がアスファルトを踊る音



街灯に輝く黒髪に色の白く高い身長



流川だった
  




バスケをするためだけに生まれたような少年



そこまで仙道さんを倒したいのか

そこまで

アメリカに行きたいか








真っ暗な背景を背にひたすらボールを追いかけ



レイアップシュート

スリーポイント

フェイダウェイジャンプシュート





ダンク




綺麗に弧を描くボールも

フェイクも




汗が飛ぶほど走り回る流川も




  

見惚れてしまった

開いた口が塞がらないと言うのはこういうこと、か




動かない己の身体
彼を追いかける視線

気付けば流川はベンチに座り込んで夜空を見上げていた



何やってたんだ、あたし



黙ってそのまま家へ向かおうと自転車のハンドルを握り
地面を蹴ろうとすると


「おい」





  








そのまま公園に逆戻り。
首根っこ持って引き摺りやがった



「何」

「…送る」

「帰れ」

「アンタを送ってから」

「まっすぐ帰れ、今すぐ帰れむしろ練習に戻れ」



あたしの話を聞かずに無言で左手を差し出すコイツ



「お茶」

「殴るぞ」




腹が立ったので
鞄の中からさっき自販機で買った緑茶を
広い胸へと投げつけた


ナイスキャッチ




「・・・ツンデレ?」

「マジで黙れ」








 く れ て や る 





「ツンデレ・・・。」
「もういい、一人で帰る!」




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