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□Why.
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「あ−あー、マイクテスマイクテス」


生徒集会が始まる寸前の全校生が集まり並び終わるまでの待ち時間。
誰もが友達と喋っている。
密集の中でざわざわと大人数の笑い声や爆笑と共に鳴らす拍手。
非常に不快極まりない。教室に光の速さで帰りたい。
こう言う無駄な時間が嫌い。

それに生徒集会そのものがあたしの中では『無駄』なのだ。
ハゲに近い校長の長ったらしい話とか運動部の大会の表彰。

最近になると保健委員、給食委員による
手の洗い方だの給食の牛乳パックのたたみ方だの。
小学生か!

それに自分たちが話しているとき、静かだが誰も耳を傾けていないことを
きっと生徒会の真面目ちゃん達は知らないだろう。哀れだな。

こんな時間を使うなら学業に励めばいいと


  

  
「私は思います。」

「・・・お前、生徒会長目の前によく言えるな。」

「だって、そうじゃない。メル友のイケメン丸井君も言っていたわ。」



―――『俺らの表彰以外いらねーよなー。
めんどくせえし、暇だしなー』




目の前のいつも仏頂面の我が学園の生徒会長は
少し顔をしかめた。(気がする)



「何故、立海の丸井と?」

「話反らさないでよ。

丸井君とは偶然バッティングセンターで出会ったの。
あたしのバッティングを『すっげー!女のクセにうめーな!!かっけー!』って
褒めてくれたわ。テニス部の彼に。」

「・・・・お前は美術部だろうが。」



  
  

「あら?
美術部が、野球経験のない者が、女が
バッティングセンターの常連になっちゃ悪い?

手塚会長は人を見た目で判断するお方だったかしら?」



だんだん話が反らされていく。
全部目の前の彼の所為だ。あたしに罪はない。

そこで彼はわざとらしく咳払いをする。
彼の変な癖だ。
話を元の戻そうとしたり、機嫌が悪かったり、
空気を読んでほしいときとか。
・・・・全て機嫌が悪いときにするじゃないか。



「で、お前は俺に何を言いたい。」



  


「単純な話よ。『他の委員長の話は無駄に過ぎない』って。伝えておいてほしいの。」



そこで彼は困ったような顔になった。(気がする)



「俺の話はお前の中じゃ『無駄』なのか。」



思わず目を丸くしてしまった。
まさか、大人な彼が意外と可愛いことを気にしているので。



「・・・・手塚の話は好きよ。
長すぎず、短すぎず。適当じゃないしわかりやすいし
為になるし。」



それに、と続け彼に顔を近づける。


  


「手塚の声は落ち着く。『もっと聞いていたい』って思うの。
変じゃない?」




彼は少し頬を緩めて見せた。





W h y .





貴方だけ何故か『無駄』とは感じられないの。
可笑しいでしょう?




20110626
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