短短編。

□元・拍手お礼小説
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『安心できる場所。』




こつん、と。


ソファに腰掛けて読書していた俺の肩に、唐突に何かがぶつかる。


見てみると、隣に座っていたティエリアが俺の肩によりかかり、小さな寝息をたてていた。


暇すぎて寝てしまったのだろうか。


読書にばかり集中していないで、もう少し構ってやれば良かったかな。


――それにしても。


ティエリアが座ったまま寝てしまうなんて、なんだか意外だ。


そんなに簡単に油断してしまうような奴じゃないと思ってたんだけどなー…。


俺は寝ているティエリアの顔をまじまじと見つめる。


いつもは神経質そうに吊り上がった眉は下がり、少し開いた唇からは静かな吐息が漏れている。


幸せな夢でも見ているのか、頬が少し上気していた。


…なんだか子供みたいな寝顔だな。


落ち着いてるというか…安心しきったような、そんな寝顔。


普段は絶対見られない穏やか表情に、俺は自然と口元を綻ばせる。


「……………。」


さっきまで読んでいた本を脇に置いて、


ティエリアを起こさないように、そっと優しく頭を撫でてみた。


さらさらで柔らかい髪の感触が心地よくて。


つい、そのまましばらく撫で続けてしまう。


そのせいで、ティエリアの髪が少しくしゃくしゃになってしまった。


…このままだと起きた時、さすがに本人も撫でられたことに気づくかな。


ティエリアのことだから、怒るだろうなー。


『僕が寝ている間に好き勝手なことしないで下さい!!』


…とか言って。


怒りながらも多分、恥ずかしさで真っ赤になるだろうティエリアを想像して…ちょっと笑ってしまう。




――怒ってる時の顔も、寝てる時の顔も。


ティエリアの表情は全部、大好きなんだ。


だから、もうしばらくの間…このまま見つめさせてくれよな、ティエリア。






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