BL
□本当の君を知りたいよ。
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ある日の朝。
食堂にて。
「じゃーんっ!!見て下さいストラトスさん!!」
2代目ロックオンことライル・ディランディは、早めの朝食を摂っていた。
そこへいきなり話し掛けてきたのは、先程やって来たばかりのミレイナ・ヴァスティだった。
その手には、何やら怪しげな栄養ドリンクの瓶が握られている。
「……何だそれ?どこのメーカーの商品だ?」
「ふっふっふ、ストラトスさんったら、これが栄養ドリンクか何かだと思ってませんかぁ?
違いますよっ、これはソレスタルビーイングの専属ラボが独自に開発した………、」
ミレイナが言いかけた所で、食堂の扉が開いた。
誰かが入ってきたのだ。
「あわわっ」
ミレイナは慌てて栄養ドリンクの瓶をテーブルの上に置き、自分の体を壁にして、食堂の入口から瓶が死角になるようにした。
おかげでテーブル席で食事をしているライルは、目の前の栄養ドリンクのラベルをはっきり見ることが出来た。
ラベルに書かれていた文字は――…
『philter』
…――つまり媚薬。
(は…!?)
目の前の栄養ドリンク、もとい媚薬をまじまじと見つめながら、胸の内で驚きの声を漏らすライル。
ソレスタルビーイングが独自に開発した、などと言うからてっきり身体機能を高める何かだと思っていたら…。
媚薬なんて、さっぱり武力介入の役に立たなさそうな代物である。
だいたい、いくら今が24世紀だからといって、そんなトンデモ発明が可能なのだろうか。
にわかには信じられず、ライルは胡散臭げに栄養ドリンク(暫定)を見た。
だが、ラベルには主成分や容量値、『試薬品』の文字等がかなり真面目に印刷されていた為、本物のような気がしないでもなかった。
(…………まさか、な。)
下らない、とライルは思い直し、食堂の入口の方へと視線を移す。
先程食堂に入ってきたのが誰か気になったのだ。
「…なんだ、教官殿か。」
「なんだとはなんだ。相変わらず今日も失礼だな、君は」
「悪い悪い。それにしても相変わらず今日も綺麗だな、教官殿は」
「……。茶化すなと何度言えば分かるんだ」
食堂にやって来たのは、見慣れた黒紫髪の青年――ティエリア・アーデだった。
中性的な、というよりは女性的な顔立ちは、普段よりいくらか疲れているように見えた。
真面目なティエリアのことだから、昨晩も遅くまで仕事をしていたのかもしれない。
それでも、顔立ちが綺麗なことには変わりはない。
ティエリアは先程も茶化しただけだと思っていたようだが、ライルはいつだって嘘を言っている訳ではないのだ。
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