BL

□ゆめフェチ。
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『夢かもしれない。』




in・ニールの部屋



………俺は気付いてしまった。

唐突に。

気付いてしまった。

…………これは夢だ。

俺は今、夢の中にいるんだ。

それは紛れも無い事実。

つまりこれから何が起ころうと……全て夢オチ。

そうでないと説明がつかない。

…何故なら、

俺の目の前に今、通常では有り得ないことが起こっているからだ。



「……どうかしましたか?」



ティエリアが俺に話しかけてきた。



「…ぇ…えっと。…や。なんつーか………」



「………。あの……やっぱり気に入りませんでしたか?
………メイド服」



潤んだ瞳で上目遣いをするティエリア。

メイド服のミニスカートが、もじもじするティエリアの動きに応じて揺れる。

ちなみにニーハイ絶対領域である。

………萌え具合が尋常じゃねぇ!!



「え、ちょ、何だコレ、何だこの状況、やっぱり夢オチだろコレ、俺は騙されねぇからな!!!!!」



言いながら、思わず頭を抱えた。

するとティエリアが心配そうに声をかけてきた。



「だ、大丈夫ですか?旦那様…っ」



「旦那様!??」



えええええ。



「一体全体どうしちゃったんだティエリアさん!!(焦)」



「……どうしちゃった……とは、どういう意味ですか??」



純真そのものの表情で、小首を傾げるティエリア。

すげー可愛らしい。



「いや、だからその、…何でメイド服なんだ?そして何で旦那様呼びなんだ?」



「………えーと、……ろっくお、じゃなくて、…旦那様が喜ぶと思ったので……」



「………。」



そりゃ……

そりゃ、喜ばない訳ねーけどよ…残念ながら。



「でも何で急に……」



「貴方は昨日ミッションから帰還したばかりでしょう?
疲れを癒してあげたくて、ヴェーダに相談したんです。そしたら…」



「………そしたら?」



「ヤフオクでメイド服とこの本を落札してくれたんです」



そう言ってティエリアは分厚い1冊の本を取り出した。

タイトルにはこう書かれていた。

『ご主人様にLet's ご奉仕!萌えメイドの目指しかた☆』



「………。」



俺は………、

俺は一体、どこからツッコミを入れればいいんだ………

とりあえずヴェーダがオタク脳を持つコンピューターだということだけは理解した。



「あの……、旦那様。この格好がお気に召さないのでしたら、今すぐ別の服に着替えてきますが……」



ティエリアが俺の表情を伺いながら、おずおずと言った。

普段のTHE・我が道を行くティエリアさんとは大違いである。

まさかその怪しげなメイド教本に洗脳されてしまっているんだろうか……。



「……参考までに聞くが、その『別の服』ってのは当然いつものピンクカーディガンのことだよな……?」



「え?違いますよ?」



「………じ、じゃあ何、」



「ええと…、セーラー服、スク水、パジャマ、巫女服、ゴスロリ、ナース服、それから他にもヴェーダが用意してくれた服が…、」



「もうメイド服でいいわ」



「そ、そうですか…?」



「ああ。そうだ」



さりげなくピンクカーディガンに着替えることは強制しない俺なのだった。






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