BL

□言ってみて
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「………でも、」


ふと、ティエリアが顔を上げて言った。


相変わらず顔は赤いが、何だか不機嫌そうな表情だ。


「僕には似合わないでしょう…、そんな言葉」


「そーか?…そんなことないと思うけどな。
じゃあ逆に聞くが、お前に似合う言葉って何だ?」


「…………………言葉じゃなくて、」


そう言って、


ティエリアが俺の服の袖を思い切り引っ張った。


瞬間、反動で俺とティエリアとの距離が一気に縮まる。


というか、距離がゼロになった。


互いの唇の距離も。


「…………!」


唇に伝わる暖かい感触に驚いたのも束の間、


ティエリアはすぐに俺から離れてしまった。


そっぽを向いて、それからティエリアが無愛想な声色で言う。


「言葉じゃなくて………僕はキスがいい。
その方がわかりやすいでしょう」


「………………」


確かに。


わかりやすい………が。


こいつが、不意打ちでこんなことが出来る奴だとは知らなかった……。


何も言えず黙っていると、ティエリアが俺の方を振り向いた。


それから何かに気づき、小さく苦笑しながらティエリアは言う。


「顔が真っ赤ですよ、ニール」


……言われた瞬間、心臓の鼓動が早くなったのを感じた。


「………そ、そうか?」


「…そうですよ」


何だか…いつもと立場が逆になってしまった……。






―――とりあえず、ティエリアからの俺に対する愛は伝わったので良しとする。




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