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□表には出さないけれど
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ていうかお願いだから恥ずかしい台詞を真面目な顔して言わないでほしい。


冗談で言われるのも、それはそれで辛いけれど。


「……つか、せっかくティエリアと2人きりなんだから何かしたいと思うだろ、普通」


なんだか残念そうに言うロックオン。


「そんな普通はいりません。」


むしろ非常事態だ。


「じゃあ、せめてキスさせてくんない?」


ロックオンの爆弾発言に心臓が再び止まりかける。


爆弾っていうか核爆弾。


「……………………………………………………………」


思わず無言。


二の句が告げない。


「…ティエリアさん?…おーい。何か言ってくれない?」


「………………………無理です」


「……え。無理?」


「………………無理です……」


「……………そっか」


露骨に残念そうに目を伏せるロックオン。


ここぞとばかりに切なげな表情だった。


見ていてこっちまで悲しくなるような表情に、罪悪感っぽいものが生まれた。


…それにしても、切なげなロックオンも綺麗です……。


色々と動揺して、僕は思わず口走り始める。


「…あ、あの、ロックオン、その、…ちょ、ちょっとだけなら……、」


「え?」


驚いたように顔を上げるロックオン。


期待のこもった眼差しを向けられた。


…逃げ道が消滅した。


「……………その。ちょっとだけなら…キス…しても……良いかな…なんて………。」


「マジで?」


嬉しそうな声でロックオンが言う。


貴方が嬉しいと僕も嬉しい…けれど。


すごく恥ずかしい……。



「じゃあ、早速。」


そう言って、くい、と。


片手で僕の顎を持ち上げるロックオン。


あの、心の準備とか色々あるんですけど!!


と言いたかったが、すぐ目の前にロックオンがいて恥ずかしすぎて言葉が出ない。


「…近くで見ると本当に綺麗だな〜、ティエリアは。
もちろん遠くで見てもすごく綺麗だけど。」


「……!!」


近距離で何故そういうことを言うんだ貴方は。(焦)


さっきから僕の心臓に多大な負担をかけていることも知らずに、ロックオンは更に言葉を続ける。


「ティエリアの、ちょっとしたことですぐ赤くなる所が好きなんだよなー」


「……!?」


「まあ、他にも好きな所はあるんだけどな。数えるとキリが無いくらいに」


「!!!」


「無性に狙い撃ちたくなるわ。」


「!!???」


「雑談もこの辺にして…、キスだけで止められる自信が全く無いがキスしようか、ティエリア」


「……!!!!???」


そんなこと言われても対応出来ないっ!!


もう色々と限界なんだが!


逃げたい。すごく逃げたい。


でも動けない。


足が全然動かない。


ついでに言うと目線もロックオンから外せない。


大好きな人が目の前に居て…、外せる訳も無い。


とか考えてる内に。


――互いの唇が重なるまで、あと数cmくらいの距離になる。


「…………っ!」


なんだかんだで胸が高鳴る。


ドキドキする。


キス……嫌いな訳じゃない。


ていうかむしろ好きかもしれない。


ロックオン以外の人間にされたいとは微塵も思わないけれど。


―――僕は、ようやく覚悟を決めて。


――ぎゅ、と目をつむる。


もう少しロックオンを見ていたかった気持ちも無かった訳じゃないけれど、


さすがに恥ずかしすぎたから。


「……って駄目だ。駄目じゃん。忘れてた。」


ロックオンが突然、僕から手を離す。


「………へ?」


駄目……て、


何が???


「………………ハロ居るの忘れてた。」


気まずそうに言うロックオン。


…………あ。


そういえば……。


「さすがにハロの前でいちゃいちゃするのは駄目だろ!!!」


「…………もう既に手遅れな気がしますが。」


とっくにいちゃいちゃしていたと思う。


……主にロックオンの方から一方的に。


「とにかく無理だ!ハロの教育上良くないからな」


「ハロに教育を施しているんですか!?」


本当にマイスターなのか、この人は。


どんだけハロが好きなんだ。


ガンダム大好きっ子な刹那と良い勝負だ。


…かつてヴェーダ大好きっ子だった僕が言えたことでは無いかもしれないが。


「………。続きは夜にするか。夜中にまた来るわ。」


「え?」


「じゃ、俺は先に朝食でも摂ることにするから。」


そう言ってロックオンは、ちゃっかり床に置いていたハロを抱え上げて僕の部屋から出ていった。


「………。」


いや。


いやいやいや。


いくら何でも自由奔放すぎるだろう。


万死に値しますよ。


「……………………。」


とりあえずヤケクソ気味に二度寝することにした。


べ、別に、ロックオンとのキスがおあずけになって、ふて寝するとか、そんなんじゃないが。


「……………うぅ…。」


あー。でも。…このままだと。


……またロックオンの夢でも、見てしまいそうな気がする…。


いや、まあ。


嬉しいけども。




――自由奔放で身勝手な貴方も、やっぱり大好き。






終わり。(←



次ページあとがき。


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