BL

□体調不良。
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「……っ」



ティエリアが、緊張したような声を漏らす。


声と一緒に熱い息が吐き出される。


…吐息から、林檎の甘い匂いがした。


それを意識して、何かが掻き乱されるような感覚がした。



そのことに焦って、俺はティエリアから急いで離れる。


…なんか…自分の顔が赤くなってる気がする。


「………。」


ティエリアの方をちらっと伺い見ると、


また目が合ってしまった。


呆然と俺を見つめてくるティエリアの頬はすっかり紅潮していた。


それが熱のせいなのか、それ以外に原因があるのか、俺には判断がつかなかった。


「……ぁ。…そういえば…熱、測ってなかったよな?」


とりあえず、今の状況から脱却すべく当たり障りのない話題を持ち出す。


「…………。別に測らなくても…熱があることくらい、わかります。」


「そう言わずに一応測っといたらどうだ?」


「…めんどくさいので、いいです。」


億劫そうに言うティエリア。


『めんどくさい』……って、


普段とのギャップありすぎだろ。


「………ていうか…風邪なんて引いてなくても、…どうせ熱上がってただろうし………」


ぼそっ、とティエリアがつぶやいた。


「ん?何か言ったか、ティエリア」


「…………別に何も。」


そう言うとティエリアは寝返りをうって、こちらに背を向けてしまった。


「…ん〜…。熱があるなら、熱冷まし用の薬でも持ってこようか?」


ちょうど食後の薬が飲めるタイミングだし、提案してみる。


「………………。」


「……、おーいティエリアー。聞いてんのかー?」


「………。…別に薬なんていらないです」


「は?…何でだよ」


意味が分からない。


薬嫌いなんだろうか?


「……………えっと、…」


ティエリアがごにょごにょ声で何か言う。


「ん?悪い、聞こえなかった」


「…………だから…その。薬とか無くてもいいので、」


「…?」


「………僕から離れないで、ください。」


「―――……、」



咄嗟に言葉が出なかった。


ティエリアの言葉に驚いていたから、というのも確かだが。


それ以上に自分自身の感情に戸惑って、


言葉を発する余裕が無かった。


……なんだろ。


ティエリアが……可愛くて可愛くて仕方ない。


どうしてこんなに可愛いんだコイツ。


え……、ティエリアに対してこんな風に思うなんて、やっぱ異常?


や。違う気がする。


ティエリアが可愛すぎるのが悪い気がする(←



「……あの、ロックオン…?や、やっぱり迷惑でした……?」


黙り込む俺の方を振り向いて、おずおずとそんなことを言うティエリア。


……迷惑な訳あるか。


つか、むしろ俺だってお前の傍にいたいよ。






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