ギャグ


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食堂にやって来たのは、アレルヤだった。


「アレルヤか。そういえば君は何故ミッションに来なかったんだ。」


ティエリアが問い掛けた。

その問いにアレルヤは苦笑い(苦9割、笑1割)しながら答える。


「えっと…。スメラギさんに『今回のミッション出なくていいわよ☆』って言われたからかな。刹那達3人だけで充分可能だ、って……」


「なんだ、またハブラレルヤだったのか」


「ちょ、ティエリア、その名で呼ばないで!!」


「じゃあアレルヤ・ハブラレズムでどうだ。」


「嫌だよ!……あれ?ていうか、何だか焦げ臭くない?」


「自動調理機が壊れた。」


悲壮感を漂わせながら簡潔に言う刹那。


「うわっ、本当だ。よく見ると煙が上がってる!?」


「ああ。緑のぶよぶよした物体しか作れないマシンになってしまった」


「そ、それは逆に凄いことなんじゃ…?」


アレルヤの台詞にライルが呆れた口調で言う。


「のんきなこと言ってる場合じゃねーよ。このままじゃ俺達、修理が終わるまで大して美味くもない非常食しか食えねーんだぜ?」


「え?何で?」


キョトンとするアレルヤ。

その様子にライルや刹那までもが疑問符を頭上に浮かべる。


「何でって…そりゃお前、マシンが壊れてんだから…」


ライルのその言葉に、アレルヤは何でもないことのように言う。


「トレミーには調理室があるんだから、料理をすれば良いんだよ。材料はマシンに廻してた分を使えば良いし」


「……料理?」


「うん、料理。ライルだって料理くらい出来るよね?」


「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん〜……。」


「出来ないならハッキリ出来ないって言いなよ(焦)…じゃあ、刹那はどう?」


「サバイバル術としての調理なら一通り出来るが、一般的な食事を作れるかどうかは正直微妙だ」


「なんだか刹那らしいね……」


言いつつアレルヤは、ティエリアに説教をしているニールの方を向く。


「ニールはもちろん料理出来るよね?」


「え?」


説教を中断して固まるニール。

ティエリアはというと、せっかくニールに構ってもらえていたのに…と明らかに不満そうだった。


「あ、あれ?もしかしてニールも料理出来ないの?」


「なッ、おま、そんなワケねーだろ!!料理くらい人並みに作れるっつーの!」


「……だが味つけがあまりに平凡すぎて、美味しくもなければマズくもない没個性な料理だった」


刹那がボソッと言った。


「刹ちゃん酷ッ!!」


落ち込むニール。

すかさずティエリアがここぞとばかりにニールに言う。


「落ち込まないで下さいニールっ。僕は貴方の料理は主観的に見てとても美味しいと思う!!」


「じゃ、客観的に見てどうなんだ?」


恐る恐る聞くニール。

え?と一瞬驚きつつ、返事をしようとティエリアは口を開く。


「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん〜……。」


「美味しくないならハッキリ美味しくないって言ってくれ!!」


若干涙目になるニール。

その様子を見ていたアレルヤは、苦笑いしながら言う。


「つまりマイスターの中で料理がそれなりに出来る人はいない、ってことなのかな」


「ちょっと待てアレルヤ、まだ僕が残っているだろう!」


「え?え、えーと……。じゃあ聞くよ?ティエリア、君って料理出来る?」


「フッ。出来る訳がない(ドヤァ)」


「…………。」


「…っつーか偉そうに言うけどよ、お前はどうなんだ?アレルヤ」


ライルが不満たらたらに言った。

が、アレルヤは全く焦る様子がない。

むしろ余裕たっぷりな雰囲気すら漂わせ、ライルに言う。


「ねぇライル、何か食べたいものあるかい?」


「へ??……ん、えーと。カルボナーラ…」


「カルボナーラ、ね。ちょっと待ってて」


言うやいなや、食堂を出るアレルヤ。

ライルはただただ疑問符を浮かべるしかなかった。

この状況で料理のリクエストを聞いてきたということは……、


「なぁ兄さん、アレルヤってもしかして…………料理出来る人なのか?」


そう言って後ろを振り返ったライルの目に飛び込んできたのは、


「ばかやろう!!アレルヤ様にはちゃんと『様』を付けろライル!!」

「「そうだそうだ!!」」



先程までとは明らかに様子が違うニールと刹那とティエリアの姿だった。


「………は?」


「は?、じゃねぇよ!いいかライル、俺達は忘れていたんだ…救世主は身近にいたんだということを…!!」


ぐッと右拳を握り、無駄に力強く言うニール。


「この世界に……神はいた…!!」


感無量と言った風に言う刹那。


「救世主の存在を今まで忘れていたとは……僕は愚かだ…!!」


涙ぐみながら言うティエリア。


3人とも、いっそ恐怖すら感じるような変わり様だった。

ライルとしては訳が分からず立ち尽くすしかない状況である。

と、

唐突に食堂の扉が開いた。

途端、温かい食事の良い匂いが食堂へと広がっていく。


「お待たせ〜」


そんな穏やかな声と共にやってきたアレルヤの手には、

ほかほかと湯気を立てた、出来立てのカルボナーラが存在していた。

まるでレストランのメニューに載っている写真がそのまま現実に現れたような、本格的な見た目のカルボナーラである。


「あ、」


そこでようやくライルは思い出す。


「そういえばアレルヤから貰った手作りクッキーっていつも激ウマだったような…。アレルヤに関する情報だからすぐに忘れてたが…」


「ちょッ、それ酷くない!?」


「つか、え、何、このカルボナーラ、俺が食っていいの?」


「まぁ、君の為に作ったんだから、君が食べてくれれば良いんだけど……。その前に言うことがあるんじゃない?ライル」


「あぁ、サンキュー電池!!!」


「刹那っっ、このカルボナーラ食べていいよっっ」


半泣きになりつつ刹那にカルボナーラを差し出すアレルヤ。

刹那は「了解した」と即答すると、瞬時にフォークを準備してカルボナーラをがつがつ食べ始める。

よほど空腹だったのか、フォークを口に運ぶ手が物凄い速さで動いていた。


「あーーー!!俺のカルボナーラが!!!」


ライルの顔がさーーっと青ざめる。





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