ギャグ

□本棚はカオスの宝庫
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「刹那…、よく考えてもみろ。この部屋の下には何がある?」


「……それは……。…む、…俺の部屋じゃないか。


「「え。」」


刹那の言葉に同時に固まるニールとティエリア。


「そうだ、刹那。もしお前が寝てる時にこの部屋の床が抜けてみろ、そんなことになったら…」


が、ガンプラが潰れる!!!


戦々恐々とつぶやく刹那。


「……。刹那、自分の身を心配する気とかねーのか…?」


「ガンプラはもはや俺だ。俺がガンダムだ。」


「意味わかんねぇ…。完璧に電波だわコイツ」


「諦めろライル。刹那は昔っからこんなんだ。耐え忍ぶしかないんだ。」


「……俺はそういう部分だけは兄さんを尊敬する」


「そんな話題はどうでもいい。即刻この本を全て処分しよう。宇宙葬にしてしまおう」


刹那が深刻な面持ちで言った。


その言葉に焦りまくるニール。


「待て待て待て!!それだけはやめろッ!!分かった、整理する、なるべく本の量減らすから!!」


「…そうか。で、ティエリアはどうなんだ?」


「僕…も、整理しよう。減らす努力を、一応はする…」


何だか悔しげに言うティエリア。


そんな様子を見て、ライルが疑問を口にする。


「っつーか何でティエリアも兄さんも、そんなに本の整理ごときを嫌がるんだよ…」


「読書好きは総じて本を捨てるのが嫌いなんだよ。」


即答するニール。


「………何の根拠があって言ってんだ、それ」





閑話休題。


「…よし。そんじゃまずはこの一角から整理していくか」


ライルが言った。


「…あの〜、ライルくん。俺、さっきから思ってたんだけど、めんどくさがりのお前が何でこう乗り気な訳?」


ニールがテンションの低いままに言った。


「兄さんの大事な物を捨てるのが楽しいからだ」


即答だった。


「……………泣くしかねぇわ……これ…」


「に、ニール、泣かないで下さいっ」


ティエリアが慌てて言った。


「ウザい。俺の前でいちゃついてんじゃねーよ。本燃やすぞ?」


「怖ッッ。いつの間にこんなドSな弟になっちまったんだ…。なぁ、刹那、」


早く作業に取り掛かってくれ。ガンプラの命がかかってるんだ


「……ちょ、刹ちゃん、殺気を込めて言わないでくれねぇ…?」


「とにかく整理すんぞ〜〜。まずこの重そうな本、誰のだ?」


ライルが辞書級の大きさのある本を指し示しながら言った。


「…あぁ、それは僕のだ」


ティエリアが答えた。


「『星新一のショートショート』…、こんな分厚い本でショートショートなのか!?」


ライルが本の題名を読んで驚く。


しかも同じ題名の本の2巻と3巻が、周辺に転がっていた。


「一体何話あるんだよ…」


「約1001話だな」


しれっと答えるティエリア。


「…もっと分冊しろよ……。…で、いるのか?この本」


「いる。まだ読んでない」


「読めよ…。そんなんだから本が積み上がっていくんだろーが。
…まぁいいや、じゃあ次。この本は誰のだ?……っつーかこれ、本??」


今度は辞書3冊分くらいありそうな超分厚い本だった。


「あー、それは俺のだわ」


ニールが答えた。


「『屍鬼』…、って分冊しろよ、これも!出版社は何考えてんだ」


「いや、それはもともと上下巻で分かれてたのを新しく背表紙くっつけて1冊にしたんだ」


「は!?何でわざわざ読みにくくしてんだ」


「いや…、だってよ。一気読みしたい時に不便だろ。片方だけ見つからなくて探すのに手間取るとかよくある話じゃん」


「探すのに手間取るのは整理しておかないからだろ!!
で、この本はもう既読なんだよな?じゃあ捨てるぞ」


「ちょ、ま、それは捨てちゃ駄目だろ!!」


慌てるニール。


「は??読み終わったんなら捨てても良いだろ?」


意味が分からず疑問符を浮かべるライル。





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