ギャグ

□本棚はカオスの宝庫
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ある日の午後。inトレミーの食堂。


2人のマイスター(刹那とライル)がまったり過ごしていた。



「…おい刹那、接着剤臭のせいで頭痛がしてきたんだが……。
全然まったり出来ねーよ」


「我慢してくれ。今ストライクフリーダムの腰部を組んでいるんだ。腰は大事だぞ、腰は」


「知らねぇよ……。ていうかガンプラって接着剤なしで組み立てられるんじゃねーの?
そういうお手軽さが売りだってCMで宣伝してたぞ?」


「モデラーにそんな詭弁は通用しない」


「……詭弁て何だよ。」



どざざざぁああああーーーっっっ
(遠くで雪崩的なものが起こる音)



「うぉっ!!?何だ今の音!!」


「敵襲か!!?」


「相変わらず中2病だなお前!」



とりあえず2人は食堂を出て、音のした方へ行ってみることにした。


トレミーの廊下をしばらく進むと、1つだけドアが開いている部屋があった。


「あの部屋だな、きっと」


刹那はそう言って、早足で部屋に近づく。


そんな刹那に、ライルは後ろから声をかけた。


「刹那、一応用心しろよ。敵襲の線は無いにしろ、何かの事故かもしれないからな」


「ああ、分かっている」


とか言いつつ、ひょいっと気軽に部屋を覗く刹那。


「俺の話聞いてる!?」


部屋の様子を見た刹那の目が、驚きに見開かれた。


「………、何だこれは。」


「……あ?何だよ。宇宙人でも居たか?」


刹那の様子を疑問に思い、ライルも部屋に近づいて中を覗いてみた。


部屋の中は、…部屋と言える状態じゃなかった。


部屋というより塊だった。


無数の本の山で構成された塊が、2人の前に存在していた。


「………………。」


「………………。」


「……ライル。こんな本だらけの部屋、トレミーにあったんだな」


「……ああ。俺も今まで知らなかったが、あったんだな…」


「………この本は、トレミークルーの共同用なんだろうか。それとも個人の所有物なんだろうか」


「………後者だった場合、そいつは確実にぶっ飛んでるな」


「コレクターという人種は本当に理解不能だ……」


「刹那…、同族嫌悪って言葉知ってるか?」



と、その時。


本の塊の端っこが、


もぞもぞと動いた。


しかも動いた箇所から、くぐもった声のようなものが2種類聞こえる。



「………………………。」


「………………………。」


「………ライル。もしかしてこの本の下には……」


「……ああ。誰か埋まってる…のかねぇ。」


「………ガンダム……?」


「それは絶対に無い」


「……とりあえず掘るか」


「そうだな…。はぁ、めんどくさ…」





15分後。


「…やっと掘り出せた…っ」


息も絶えだえに疲れきった表情で言う刹那。


「…意外と重かったな…本……」


肩で息をしながら疲労感満載の表情で言うライル。



「………悪い。」


「………悪かった。」



気まずそうに目をそらしながら謝ったのは、


ニールとティエリアの2人だった。


この2人が先程、本の下から救出(ていうか発掘)されたのだった。


「というか、何故お前達が本に埋まっていたんだ」


刹那が質問する。


その問い掛けに、ニールが目を合わせないまま答えた。


「……いや〜…、いつものよーに読書しようと思ってティエリアとここに来たら、
なんか…雪崩が起こって……。」


「………つーか雪崩が起こるほど本を積んどくなんて、どんな神経してんだよ」


ライルが呆れ顔で言う。


「気になった本や話題の本を購入しまくっていたら、いつの間にかこうなっていた……」


ティエリアが目を合わせないまま言った。


「……………。何だそりゃ」


「読書好きというのはそういうものなんだ…。」


「ティエリアの言う通りだぜ。読書好きってのは、いつかは自分の本で埋まる運命なんだ。」


「意味わかんねぇよ。
っていうかこのままだとトレミーの床が抜けるんじゃねーのか?いらない本は捨てるとかして、少しは整理しろよな」


「「ええぇ〜〜〜……」」


思いっきり嫌そうな声を同時に出すニールとティエリア。


そんな2人の様子に、ライルのストレスが20貯まった。(MAXは100)


「ええぇ〜〜〜じゃねぇよ。自分達でやる気が無いなら、俺達が勝手に捨てるぞ」


「え。その『俺達』には俺も含まれているのか」


ライルの言葉に微妙にびっくりして刹那が言った。





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