ギャグ
□ヤンデレって何ですか。
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冬。
IN・ライルの部屋。
「ヤンデレって何ですか?ニール。」
突然、ティエリアが何の脈略もなく言った。
「……え」
問われた側のロックオン兄ことニールは、唐突すぎる質問に固まる。
そして固まりつつもロックオン弟ことライルに話を振った。
「…な、何だと思う?弟よ」
「知らねーよ。…ていうか、何で俺の部屋に居んの?兄さんもティエリアも」
ライルの部屋には現在、持ち主であるライルと、ニールとティエリアの3人がいた。
冬の寒さに抗おうと、部屋の中ではエアコンと加湿器がフル稼動で頑張っている。
ライルとニールはテーブルを挟んで向かい合い、ティエリアはニールの横にちょこんと座り、寒そうに身を縮めていた。
「ティエリア、寒いならもっと俺の近くに来いよ。遠慮しなくてもいーんだぞ?」
手招きするニール。
「……あ。ありがとうございます。」
顔を少し赤くしながら明らかに嬉しそうに、ニールに2cmだけ近付くティエリア。
その様子を見ながら、ライルの頭からブチッと何かがキレる音がした。
「無視すんな!そして俺の目の前で堂々とイチャつくな!!」
「…え、別にイチャついてねーし。なぁ、ティエリア?」
「はい。もちろんです。
…まったくライルは何を言っているんだ。というか早くこの暖かい部屋を僕によこせ!」
「何を偉そうに言ってやがんの!?
つーか寒いからここに居たのかよ!出てけっ!」
「まあまあ、良いじゃねーか。ティエリアは何も悪さしようと思って来たんじゃねぇんだからさ。居させてやれよ」
「………。」
ニールの暢気な言い様に、若干の頭痛を覚え始めるライル。
「あのな兄さん……、こいつは悪気なく悪さするような奴だから、居てほしくねーって言ってんだよ」
ライルの言葉にすかさずティエリア本人が反論しようと口を開く。
「む。失礼だな、僕は悪さなどしない。ただ暖かい部屋で冬を過ごしたいだけだ。
…ところでニール、先ほども言いましたがヤンデレって何ですか?」
「…そういう発言が俺にとっては悪事以外の何物でも無いんですけど、ティエリアさん…」
若干の頭痛が、激しい頭痛に変わりつつあった。
「ニール、ニール、ヤンデレって何ですか、ニールっ」
ニールの服の袖をぐいぐい引っぱりながら問うティエリア。
「………………。」
問われた側のニールは困り切って沈黙し、明後日の方向に目を泳がせていた。
またもや発言を無視された苛立ちを何とか押さえながら、ライルは一応ツッコミを入れる。
「兄さんの本名を遠慮無く呼べるようになったからって、何度も呼んでんじゃねーよ…っ」
「…う、うるさい。
というか、どうしてニールはさっきから僕の質問に答えてくれないんですか?」
「…………あ〜…、その、だな…。ヤンデレは………よく分かんねぇや。」
トラウマ(『ツンデレって何?』参照。)があるからなのか、歯切れの悪いニールだった。
「逃げてないでティエリアの質問に答えてやれよ、兄さん。
じゃないといつまで経っても俺のストレスは溜まる一方だ」
「………って、言われてもな。
つか、ライルが答えればいいんじゃね?」
「何で俺が………」
「ネットとかで調べりゃいーじゃん。」
思いっ切り投げやりモードなニールだった。
「………………。」
イマイチ納得出来ないながらも、ライルは端末で『ヤンデレ』について調べ始める。
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