学パロ

□4.とある双子の感情証明
1ページ/8ページ


in学校の屋上。



「……なあライル。この学校で1番可愛いのって、ティエリアじゃね?」


手すりにもたれて沈んでいく夕日を眺めながら、側で座って端末をいじっているライルに呟いてみた。



「は?いきなり何言ってんだ兄さん。
ついにイカれちまったか…合掌」


「ち、違う違う!俺は至極マトモだよ!」


「現実から目をそらすなよ。
冷静に考えてみ?兄さんはアブノーマル野郎だよ」


「兄さん本気で泣くよ!?」


いつも通り、屋上で弟のライルとだべる。


そしていつも通りライルにけなされ、俺が落ち込む、そんなパターン。


…嫌なパターンだよなぁ。


「でもよー、真面目な話、ティエリアってそこら辺の女子より可愛くねーか?」


「……知らねーよ。つか、何で俺にそういう話題を振るわけ?」


「…だーってティエリアの話なんてお前ぐらいにしか話せねーし」


「はぁ…。」


思い切りため息を吐かれてしまった。


やっぱ落ち込むわー…。


「つーか、兄さんって最近ティエリアの話ばっかするよな。
口を開けばティエリアティエリアーって…。あんな四六時中キレまくりな眼鏡のどこが良いんだよ」


ライルが心底呆れたような顔で、俺に言う。


ふっ、ライルめ。お前はもうちょい観察力を持て。


「全くわかってねーなー。ああ見えて、ティエリアは可愛い性格してんだよ。
お前はそれに気付いてないだけだっつーの」


「…その可愛いティエリアとやらを見れんのって、兄さんだけだろが。
あいつ、俺に対する扱いは酷いもんだぞ?」


「それはお前が校則違反ばっかしてるからだろーがっ」


「兄さんだって違反しまくってんじゃん…」


うっ…。


…まあ、確かに。してる。


タバコ持ち込んで校内で吸ってるライルほどじゃねーけどな。


「ま、とにかくティエリアは可愛いってことなんだよ!」


最終的な結論を述べてみた。


「…何がとにかくだよ…。
つか兄さんキモい。同性愛とかマジキモい。」


酷い言われようだった。


こいつは何かにつけて毒舌すぎる。


兄さん落ち込む。


「………。いや、でも、ティエリアは厳密に言えば男じゃねーし。中性だし」


「え?そーなの?」


今まで俺と目を合わせずに端末をいじっていたライルが、急に顔を上げて俺を見た。


…え、何こいつ。何で興味持ち始めちゃってんの?


ティエリアは俺のもんですよ?


「…中性かぁ…。中性ってことはどうなんの?」


ライルが意味わからん質問をしてきた。


「どうなんの…って、何が?」


「だから、セ」


「言うなっ!!それ以上言うな!」


慌ててライルの発言を遮る。


何言おうとしてんの、この子!


本当に俺の弟か!?


「んだよ…。まだ最初の一文字しか言ってねーよ。
それとも何か?日本語に変換すれば良いのか?性交?」


「うぁぁ、やめろっっ!!
俺はそーいうんじゃなく、もっとプラトニックに生きていきたいんだっっ!」


「…プラトニックねぇ……。」


「そうだよ!してもせいぜいディープキスだ!」


「それプラトニック?
………ていうかこの前、思いっっ切りディープなキスしてなかったか?」


ギクッ。


「……してない、してない(棒読み)」


「うぜぇ…。ハロ風に言うのマジでヤメロ」


そう言うとライルは、呆れたのか疲れたのか、こちらを振り返りもせずに屋上から出て行ってしまった。


ばたん、と扉が閉まる音が無造作に響く。


…せめて何か一言、兄さんに対する優しさ溢れる言葉を残してくれたなら……俺はこんなにもやるせない気持ちにならずにすんだだろう。


つーか泣かずにすみました。


「ハロぉ…。俺、どうしたらいいんだろう。
弟が反抗期だよ…っ。もう接し方がわかんねーよオイ」


ハロは俺の足下で耳(?)をぱたぱたさせながら、


「ニール、墓穴、ニール、墓穴」


と言った。


「………………。
…そーだよな。墓穴だよな。…うん。そう。知ってた。」


知ってたんだけどなー…。


自重できなくてさー…。


……はぁ。


大きなため息を1つ吐いて、再びゆっくり沈む夕日を眺める。


真っ赤な夕日。


赤…かぁ。


連想するのは、…あの瞳の赤色。


……今頃何してんだろ。


…俺のこと、考えてくれてたらいいなぁ……。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ